このような中で、2013年1月に政策評価・独立法人評価委員会から経済産業大臣に対し、「独立行政法人の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の方向性について(参照リンク)」が提出され、IPAによる「高度IT人材の育成事業」に関する見直しが提言された。これを受けて、2014年1月から経産省情報処理振興課、IPAを事務局とする「スキル標準の在り方に関する研究会」が開かれ、5月にとりまとめが行われたのである。
その結果、人材定義(スキル標準のキャリアフレームワーク、CCSFの人材類型、人材像)は国による検討とオーソライズ、タスクとスキル定義のデータベース開発、知識体系の維持と管理はIPA、タスク、スキル定義の策定や拡充、スキル標準の活用促進活動、人材定義に関する情報提供は民間企業、団体で新たに設立する協議会という役割分担が提言された。
この提言に基づき、IPAはタスク、スキル定義のデータベースであるiコンピテンシ・ディクショナリを2014年7月にリリースした。ITSSの維持と管理は今後IPAでは行われず、民間企業・団体で設立される協議会中心で行うことになる。
ITSSを管理することとなる協議会は、「スキル標準の在り方に関する研究会」に参加している団体などが母体になるようだ。IT業界団体が名を連ねているが、果たして3つのスキル標準を改訂、維持、管理、活用促進を行い、タスクとスキル定義の策定や拡充を行っていく人的パワーがあるか疑問である。コストもかかる問題のため、団体加入企業の負担が増える可能性もある。まだ実体がないので何とも言えないが、協議会がどこまで機能するのか疑問である。
この協議会が機能しないと、ITSSは現状のままで改訂されずに塩漬けになってしまう。そうなると、残るのはIPAが開発したタスク、スキル定義データベースと国が管理するCCSFを中心とした人材定義だけになってしまうのではないかと筆者は考えている。
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