2015年7月でサポートが終了するマイクロソフトのサーバOS「Windows Server 2003」。ユーザー企業は新しい環境へ移行する必要があるが、足踏み状態にあることが分かった。対応を急ぐべきその理由は「事業継続に直結する問題」だからだ。
「私たちが期待したほど、Windows Server 2003のサポート終了にともなう新しい環境への移行が進んでいない」
NECの川島勇取締役執行役員兼CFO(最高財務責任者)は先頃、同社が開いた2014年度第3四半期(2014年10〜12月)決算発表会見でこう語った。
NECにとってWindows Server 2003のサポート終了にともなう新しい環境への移行は、PCサーバの更新需要に直結する重要な動きだ。その需要の増加を見込んでいたシステムプラットフォーム事業の第3四半期の連結業績が、前年同期比で売上高8.2%減、営業利益55.0%減と落ち込んだ。
川島氏によると、減収減益はさることながら、当初予定していた計画から売上高が約150億円も下振れしたことが、同社にとって想定外だったようだ。
同氏はその理由について、当初は「企業のIT投資が落ち込んだため」と説明。その具体的な内容について会見の質疑応答で聞き込んだところ、ビジネスPCの需要減少などとともに、冒頭の発言によってPCサーバの更新需要が振るわなかったことを明かした。
企業のIT投資が2014年10〜12月期に落ち込んだのは、大塚商会が先頃発表した2014年12月期決算でも明白だ。通期では5期連続で増収増益を達成した同社も、10〜12月期の連結業績は前年同期比で、売上高5.4%減、営業利益9.1%減と、減収減益を余儀なくされた。
発表会見で説明に立った大塚裕司社長はIT市況の推移について、「2014年は、4月にPCにおけるWindows XPのサポート終了対策や消費税増税があったことから、1〜3月は空前の“特需”があった。だが、4月以降はその反動が大きく来た。さらに、秋口以降の市況の低迷は想定していたより厳しかった」と語った。
大塚氏は、10〜12月期の業績が振るわなかった理由について「特需の反動が大きかった」とだけ答え、Windows Server 2003のサポート終了にともなうPCサーバの更新需要については「これから加速していけるように、さまざまな利用形態の提案を行っていきたい」と、今後の動きへの期待感を示した。この発言は裏を返せば、10〜12月期にPCサーバの更新需要が特に増加したわけではないことを物語っている。
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