以上、Windows Server 2003のサポート終了にともなう新しい環境への移行について、NECと大塚商会における直近の決算での動きを取り上げたのは、新しい環境のOSを搭載したPCサーバを「生産・出荷」するNEC、および「販売」する大塚商会が、PCサーバベンダーとして国内市場で大きな影響力を持つからである。
その両社が2014年10〜12月は「厳しかった」と言い、NECからは「PCサーバの更新需要が期待していたほど振るわなかった」との声が飛び出した。これはIT業界にとって「移行」への促進活動をさらに強化すべき「黄信号」と受け止めるべきではないだろうか。
改めて、Windows Server 2003のサポート終了にともなう新しい環境への移行がなぜ必要なのか。サポートが終了すると、セキュリティ更新プログラムが提供されなくなり、セキュリティ上、非常に危険な状態になるからだ。
Windows Server 2003は特に中堅・中小規模の企業システムに広く利用されていたことから、ベンダー側はこれまで以上に促進活動を強化し、ユーザー企業に「危機管理」としての対応を訴える必要がある。
一方、ユーザー企業にとっては、「移行」を機に全社的なIT刷新を図るチャンスでもある。移行先となる新しい環境として、これまでのオンプレミス環境だけでなく、さまざまなクラウド環境を利用できるようになるからだ。
ただ、注意すべきなのは、新しい環境への移行には「それなりの時間がかかる」ことをあらかじめ踏まえておかなければいけない点だ。その意味では、Windows Server 2003のサポート終了まで残り5カ月となった今は、取り組みを始めるギリギリの時期と考えるべきである。
2014年10〜12月期において「移行が進まなかった」と明かしたNECの川島氏は、「2015年1〜3月期にずれ込んだ案件も少なくない。この期に年度末を迎える企業が多いことから、更新需要がグッと高まることを期待している」とも語った。そうであれば「黄信号」も灯らなくなるだろうが……。
重ねて訴えておきたい。Windows Server 2003のサポート終了にともなう新しい環境への移行は、とりわけ中堅・中小規模の企業にとって「事業継続に直結」する問題である。ユーザー企業の早期決断とともに、ベンダー側の万全なサポートを切に望みたい。
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