IT部門が知らないIT投資が増加――ガートナー調べ

2015年度のIT投資は引き続き増加する見通しながら、IT部門が把握していないIT投資が年々拡大していることが分かった。

» 2015年03月04日 12時33分 公開
[ITmedia]

 国内のIT投資は2015年度も継続基調が続くとみられている。ガートナー ジャパンが3月3日に発表した「2015年度国内IT投資動向」から分かった。

 これによると、2015年度は投資の増加ペースがやや鈍化するものの、企業ではビジネスの「変革」「成長」につながる投資が引き続き増加する見通しだ。一方で、IT部門が把握していないIT投資が年々拡大していることも明らかになった。

日本企業のIT支出規模予測、出典:ガートナー、2015年1月

 企業のIT支出規模の予測で2014年は、景気が底堅く推移したことに加え、未完了のWindows XPの更新案件が期中にずれ込んだことや、中堅・中小企業向けの設備投資減税の影響もあり、前年比2.5%の増加となった。2015年については、2013年から2014年にかけての比較的強いプラス傾向の反動があると予測しており、0.6%の増加にとどまる見通しだという。

 IT予算の内訳は、76%が継続的なビジネスのオペレーションを実現させる固定費なども含む「運営」に費やされ、ビジネスの「成長」「変革」のための予算はそれぞれ14%と10%にとどまっている。

 しかしガートナーは、「成長」「変革」のための投資を相対的に増加させる企業の比率は高まると予測している。この予測の根拠としては新規参入企業の脅威や、新たな代替技術の登場、規制環境・制度の変化などを挙げており、競争優位を獲得し、持続的な成長と変革を実現しよういう意欲が高まっているとしている。

IT総予算における利用部門が管理する予算状況、出典:ガートナー、2014年11月

 また、同調査ではIT部門がビジネスニーズに対応しきれず、ビジネス部門が独自にIT投資を行うケースが増加しつつある状況も浮き彫りになった。過去3年間のIT部門と利用部門のIT予算の管理状況についての回答で、「利用部門が管理するIT予算は存在しない」の比率が減少する一方で、「IT部門が管理・把握していない利用部門独自のIT関連予算が存在」する企業の比率は全体の2割以上へと増加している。

 ガートナーでは、同調査の回答者主体がIT部門であることから、情報システム部門が把握しないまま現場で利用されている、いわゆる「シャドーIT」の比率が水面下でさらに拡大している可能性があると指摘する。

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