Office 365の特徴は、「国内データセンター」で「必要な業務ツールをオールインワン提供」すること。情シスはそのコストメリットをどうとらえるか。リセラーによると、導入検討段階の企業が「ナルホド!」と一気に前向きになるポイントがあるようだ。「BCP」と「国内データセンターで提供」である。
企業の情シス担当者は、「Office 365」をどれだけ理解しているだろう。
「そんなの知ってるよ」と思うかもしれない。でも、実情としては「Microsoft Officeの月額課金版(サブスクリプション版)としか認識していない」という人はまだ多いようだ。機能こそは理解しているが「では、ほかの会社ではOffice 365をどのように活用しているのか。それを知ってから」と気になる情シスも多いと思う。2015年3月時点におけるOffice 365の企業導入の現状はどうか、東京都に本拠を置く、あるOffice 365リセラーの担当者に聞いてみた。
2015年現在、導入形態として多い“きっかけ”は「既存システムのリプレース」だ。システム更新やライセンス期間切れのタイミングでOffice 365を検討する顧客が多い。そして検討のポイントには「サーバ(ストレージ)容量やコスト」が挙がる。例えばこれまでのオンプレミス型システムとなる社内サーバでExchange、ないしメールサーバなどを稼働させる場合、全社員が使用するストレージ容量を見計らってハードウェアの選定や拡張を行い、定期メンテナンスも都度行う必要がある。
この点、クラウド型サービスのOffice 365ならばどうか。
メールや連絡先、予定表は1ユーザーあたり50Gバイト、OneDriveストレージは同無制限(今後拡張予定)をハードウェアの導入や管理なしに従業員へ提供できるようになる。データの管理を含めて社内でサーバを設置し、管理する負担がなくなる。ここが大きなコストメリットと感じるポイントのようだ。
もう1つ「データの保全性と事業の継続性(BCP)」の対策もそうだ。言うまでもなく2011年の東日本大震災の発生が契機となっており、どんな企業や団体も極めて真剣に考えるべきこと。ただ、対策はまだ進んでいない/対策手段を模索している最中という企業は、中堅中小企業にまだ多い。
自社やサーバのある拠点が災害などの要因で物理的損害を被ると、事業の継続が困難になる。企業にとって極めて大きなリスクだ。オンプレミス型サーバでの運用は、その対策を自社で行う必要がある。対策を施さなければ、データの冗長性は担保できない。対策には、手間も、知識も、コストも多く発生する。
こうした脅威やリスクに対し、インフラ的側面の社会的義務や事業の維持を主眼にした「事業継続計画」の掲出が大企業を中心に求められている。具体的には、事業の遂行に必要な業務データやインフラを物理的に複数の拠点へ分散し、必要に応じてすぐに復旧できるよう「ディザスタリカバリ」の必要性が再認識されることになった。
ただ……こうした仕組みを専用のプライベートデータセンターなどを持たない中堅規模以下の企業が独自に導入するには、投資負担の面で極めて難しい。
この点、クラウド型サービスのOffice 365ならばどうか。
業務に必要なツールをクラウドサービスとして包括していることに加え、Office 365は国内企業ユーザーへ、日本国内のデータセンターよりサービスを提供する。東日本と西日本、2拠点のデータセンターでデータを管理する「冗長化の仕組み」が標準で提供されている。
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