チームが「思ったように回らない」時の対処法上司はツラいよ(1/2 ページ)

このあいだ言ったはずだから、分かってくれているはず――。それはリーダーの思い込みに過ぎない。チームに大事なことを伝え、それを実行してもらうために重要なこととは。

» 2015年06月04日 13時00分 公開
[田中淳子ITmedia]
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 人の記憶って案外、あてにならない――。日々、仕事をしていて、こんな風に思うことはないだろうか。

 つい先日も、そんな経験をした。それは自分が幹事をしているイベントの出欠確認メールを送った時のこと。イベントには「日中の会合」と「会合後の懇親会」があり、その両方に対して「参加・不参加」の確認をするため、以下のように記したメッセージを送った。

 以下、それぞれについてお返事ください。

  • 会合に参加・不参加
  • 懇親会に参加・不参加

 ぽつぽつと届く返事には「会合への出欠」は書いてあるものの、「懇親会の出欠」に触れたメールはなく、会合に参加すると知らせてくれた人には、懇親会の出欠を問うメールを再度送ることとなった。ちなみにこの会合は定期的なもので、いつも「日中の会合」と「夜の懇親会」という二部制になっていることは、メールを送った人たちも知っているはずなのだ。

 このとき、「メールの書き方をもっと工夫する必要があるな」と考えると同時に、「人はこちらが思った通りには情報を受け取ってくれないものだな」とも思った。自分では伝えたつもりであっても、一度だけでは100%正確には伝わらないこともある。こちらは「会合と懇親会両方の出欠を教えてほしい」と思っていても、皆さんの関心は「会合」にあるため、そちらに気持ちが集中してしまうのだろう。

 この逆もある。自分が「まったく聴いていない」という場合だ。

 資格試験を受けるために、ある講座に通ったときのこと。クラスメイトと雑談していた時、「試験は選択式と記述式があるから、言葉を正確に覚えておかないといけないね」という話になった。

 「ちゃんと漢字で書けるか不安です」

クラスメイトA 「漢字を間違えるくらいなら、ひらがなで書いておきなさいって」

 「え? それ、どこで聞いたのですか?」

クラスメイトA 「この講座の初日に先生がおっしゃっていた」

クラスメイトB 「そういえば、そういう話をなさってたわね」

 「え? 初日に? 講義の中で? 初耳……」

 私はこの講座を、相当熱心に受講していた。居眠りもしていないし、ノートも細かくとっていた。それなのに「漢字を間違えるくらいならひらがなで」という話が講義中に出てきたことをまったく覚えていないのだった。おそらく、「ノートに書く」とか「テキストの気になる箇所を読む」といった別のことに意識が集中していて、その部分を聴きもらしたのだと思う。試験に関するとても大切なアドバイスであるにも関わらず、だ。

 実はこれ、リーダーがチームのメンバーに大事なことを伝える時にも起こりがちな現象だ。

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