同社はSalesforceの知見を生かし、クラウドERPやIoTの分野にも進出していくという。特にIoT分野では、古くからM2Mソリューションにおける導入実績があるほか、最近も「Salesforce1 IoT ジャンプスタートプログラム」(IoT関連ソリューション向けのパートナー)に参加するなど、積極的な動きを見せている。
多数のセンサーから集めたデータをSkyOnDemandで集計、SalesforceやBIツールで可視化するという一連のシステムを提供できることが同社ならではの強みだという。
「データの収集からマイニング、分析、可視化といったステップをワンストップで提供できるところは少ない。センサーから集めたデータをどう活用すればいいか分からないという悩みを抱えている企業は多いが、SkyOnDemandならばデータを加工し、活用しやすい形で現場に届けられる」(同社取締役執行役員 松岡弘之氏)
また、クラウドサービスの特徴を生かし、初期投資を抑えられることも大きな特徴という。「現在医療機関で、医療機器の故障予兆を解析する実証実験を行っているが、最初は1つの機器を2カ月間という規模から始まった。億単位の投資をせずに効果検証ができるのは好評だ」(松岡氏)
このほか、グローバル展開も同社の大きなミッションになっている。2012年に米国子会社のTerraSkyを設立し、テラスカイのサービスを世界へと広めようとしているのだ。「他国への展開となると、現地に丸投げというケースも見受けられるが、テラスカイはそうではない。現地のユーザーからのフィードバックを受け、製品をローカライズしている」とジェイソン・ダニエルソン氏は話す。
日本の製品を単に米国に持ち込むだけでは受け入れられない。現地法人を設立し、約2年かけて、ようやく現地のニーズに合った機能を追加できるようになったという。例えばSkyVisualEditorは、マウス操作だけで画面開発ができるという、コーディングなしで簡単に機能拡張できることが特徴のサービスだが、米国ではコーディングがあってもいいから、より細かくカスタマイズできる機能が求められたという。
「同じサービスでも、日本と米国ではユーザーのニーズが違う。これは日本ではユーザー企業がIT部門を外注するケースが多いのに対し、米国では大きなIT部門を自社で持つユーザー企業が多いため。彼らは技術力も高く、クラウド利用に関しても先進的だ。一方、日本では“誰でも使える”という機能がポイントになることが多い」(ジェイソン氏)
こうした苦労を経て、現在では世界で55万人がSkyVisualEditorを使うようになったという。日本のSalesforceの利用者数は世界で第2位ではあるが、1位の米国はその7倍。より大きなマーケットを攻略することが、今後のテラスカイの成長につながっていくという。
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