大人も悩むLINEの「既読無視」――問題の本質とは?萩原栄幸の情報セキュリティ相談室(1/3 ページ)

そのつもりはないのに「既読無視」(既読スルー)と責められる。「既読」を隠す方法もあるが、それでは問題解決にはならない。どう考えればいいか。

» 2015年06月19日 07時30分 公開
[萩原栄幸ITmedia]

 身近なコミュニケーションツールとなった「LINE」。プライベートな利用で問題になっているのが、「既読無視」(既読スルー、KSともいう)だ。ところがここ最近は、既読無視がプライベートな問題だけでは済まなくなってきた。

LINEの既読無視とは?

みんなで作るLINEグループは最初に盛り上がるが……(写真はイメージです)

 たぶんユーザーのほとんどはご存じだろうが、簡単に説明したい。LINEでは仲間内でグループを作り、そこでメッセージをやり取りし、その内容を仲間と共有できる。例えば、10人でグループを結成し、その中でだれかが「今、ヒマ?」と入力すれば、全員にメッセージが届く。残りの9人から次々に「今、無理」「超ヒマ」「1時間後ならOK」といった返事が届く。「今、ヒマ?」のメッセージを相手が読むと、送信者には「既読」マークがつく。相手が既読したにも関わらず、返信をしない状態が「既読無視」である。

 グループによって“おきて”が違うものの、例えば、10分以内とか30分以内、厳しいところでは数分以内に返信しないと、「既読無視」をしたとみなされる。「既読無視」をした人はその後グループ内のメンバーから様々な嫌がらせやいじめ、シカトなどを強いられてしまい、グループ内からいつの間にか除外されたり、家族などグループ以外の関係者にもその矛先が向けられたりする。

 筆者のもとには、そんな「とんでもないことになった」というメールが何人かから届いた。それならLINEをしなければいいと思うが、ある人は「大切な情報の伝達が滞ったり、除外されたりするので困る」という。既読無視の問題は学校や若者たちだけの現象だろうと気楽に考えていた。

 ところが最近届いた3通のメールのうち、1通はいわゆるママ友(筆者の妻の友人)であり、もう2通は企業の職員であった。いま、企業ではBYODやスマホを武器にして営業活動を活発化させているところが多い。取り組みの中で自然発生的に、同僚や上司、後輩らのLINEグループができたり、会社自体がLINEをコミュニケーションツールの1つとして採用したりしているという。

 LINEについては、少し前まで情報セキュリティ上の懸念から積極的に活用する企業がほとんどなかった。最近ではLINEがセキュリティを強化・向上させていることもあり、だんだんと企業でも普及していると聞く。

 LINEそのものの使い方や既読マークを付けないなどのテクニックは、詳しいWebサイトが幾つもあるので、そちらに譲る。本稿では「既読無視」問題の本質について考えてみたい。

 実は、既読無視をきっかけに「うつ病」になり、こっそりと心療内科を受診したり、家族にグチを言ってケンカになったり、挙句の果ては休職や引っ越しせざるを得ない状況になるケースが生じている。筆者は拝見していないのが、NHKでも既読無視の影響を取り上げているほど社会問題化しつつある。

 本人にそのつもりはなくても、「既読無視で評価が下がった」といった声が企業内にも出始めているなど、非常に残念なことだ。

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