“領収書の手貼り”をやめれば「年6000億円のコスト削減」 改正e文書法のインパクト(1/2 ページ)

領収書を“のりで貼って提出する”手間や、原本保管のコストがなくなれば、日本全体で6000億円のコスト削減になる――。こう話すのはコンカー取締役の三村真宗氏。e文書法のさらなる改正で、それが実現する日も遠くないようだ。

» 2015年06月22日 11時00分 公開
[後藤祥子ITmedia]
Photo e文書法のさらなる改正に向けてタッグを組むコンカーと日本CFO協会、日本文書情報マネジメント協会

 スマートデバイスを使った業務効率化が進む中、いつまでたっても“のり付けして提出”という面倒なアナログ作業がついて回るのが“経費精算”だ。2005年のe文書法施行でデジタル化が可能になってはいるものの、さまざまな規制に阻まれて導入企業が少ないのが現状だ。

 そんな状況が今秋のe文書法改正で変わろうとしている。今回のe文書法の改正は、企業にどんなメリットをもたらすのか。残された課題が解決するめどは立っているのか。クラウド型経費精算サービス大手のコンカーで代表取締役社長を務める三村真宗氏が説明した。

2015年、e文書法改正で普及に弾み

Photo 領収書張り付け作業のムダを指摘するコンカーの三村社長

 e文書法はそもそも、領収書や契約書などの証憑をデジタルデータで保存できるようにして、貼り付け作業の手間や、保管にかかるコストを低減しようという目的で生まれた法律だ。しかし、導入に向けたハードルが高く、実施している企業は少ないのが現状だ。

 普及が進まない理由の1つが、「3万円以上の証憑は原本を保存しなければならない」という規制だ。この規制があると業務の現場では、3万円以上の証憑は従来のように紙の原本をのり付けして保管し、それ以外の証憑はデジタル化して原本を処分する――というように作業フローが煩雑化してしまう。

 2つ目は、デジタル化したデータに電子署名とタイムスタンプを付与するための仕組み作りだ。偽造を防ぐため、いつ、だれがデジタル化したかが分かるようにするためのルールだが、証憑をe文書法に則った形でデジタル化するには、電子署名法で定められた認定業者の電子証明書とタイムスタンプを付加する必要がある。企業が対応するためには、自社のシステムにその仕組みを組み込まなければならない。

 3つ目がスキャナの仕様だ。現状では証憑をデジタル化するためのスキャナは「原稿台付のスキャナ」が必須となっており、タブレットやスマートフォンのカメラで撮影した画像では、e文書法の条件を満たせない。

 こうした“普及を阻む規制”のうち、今秋の改正が決まっているのが、3万円以上の証憑の原本保存と、デジタルデータへの電子証明書の付与だ。

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