定額制の音楽サービスが賑わってますが、お試し期間が終わると、不満を口にする人が少なくないようです。その方々にお勧め(?)の方法があります。
アップルの「Apple Music」に、LINEによる「LINE MUSIC」、そしてサイバーエージェントとエイベックス・デジタルが共同出資して作った「AWA」など、にわかに定額制音楽サービスが活気づいています。開始当初はお試し期間ということで数カ月間無料のサービスもあり、私もApple Musicのお試しをしてみているところです。音楽が好きな方だけでなく、年に数枚しかアルバムを買わないという方でも計算上はペイできる価格帯であるので、日本においてどのように受け入れられるのか楽しみです。
ところが、これらのサービスの無料期間が終わることで、かなりの方がネット上で「不満」を漏らしているようです。おそらく若い方がほとんどであろうと思いますが、ネット上にあるものは基本的に無料という状況で育っているとしたら仕方がないのかもしれません(いいことだとは思いませんが)。
個人的には、原則「コンテンツを作る人には敬意と対価を」と思っています。その対価が広告モデルという形でも構いません(この連載も、多くの広告収入で継続しているわけですし)。音楽は自動生成されるものではなく、人の手によって作られるもの。いい音楽には対価を簡単に支払えるようになればいいと思いつつ、なかなかそういう仕組みがネット上で作れないのは歯がゆいです。
そして、音楽は無料だと思っている人に対して、ぜひ知ってほしい1つのハードウェアがあります。とても小さくて軽くて常に音楽を聴けるだけでなく、契約すらも不要。そんな魔法のような箱があるのです。それは「ラジオ」。
ラジオなんていまさら、という声が聞こえてきそうですが、私はここ5年以上、ラジオにどっぷりつかっています。ご存じのように、ラジオは今では市場も縮小してしまい、チューナーを持ち歩いている人はおろか、自宅にラジオが聞ける端末を持っていないという人、そもそもラジオを聞いたことがないという方もいるでしょう。実はラジオのチューナーはスマートフォンやワイヤレスヘッドホンに内蔵されていることに気が付いていない方も多いと思います。
ラジオの広告収入は低いところで横ばいを続けており、電通によると2014年の広告費は1272億円(前年比102.3%)。これはインターネット広告費(1兆519億円)の10分の1という規模。でも、番組自体がつまらなくなっているわけではありませんし、最新の音楽も聴けます。しかも、パケット代なしで。
ご存じのように、ラジオはインターネットでも聞くことが可能です。「radiko.jp」はクリアな音質で、PCやAndroid、iOSのアプリでも聞くことが可能。私はradiko.jp登場以前、USB端子につなげるラジオチューナーを手に入れて聞いていたものですが、今では本当に簡単になりました。
ラジオは情報を取得するインフラとしても優れていると思います。2011年3月11日のあの夜、徒歩で3時間かけて帰宅する道すがら、買ったばかりのBluetoothヘッドセットに内蔵されていたラジオを聞きながら歩いたことを思い出します。もし皆さんの家庭でも、お子さまから「聞いていた音楽配信サービスが有料になった」なんていう声が聞こえてきたら、不正な方法で音楽を聴かせるようなサービス/アプリに手を出させず、ラジオを聴いてもらうことをお勧めします。
元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。
筆者より:
2015年2月10日に本連載をまとめた書籍『デジタルの作法〜1億総スマホ時代のセキュリティ講座』が発売されました。
これまでの記事をスマートフォン、セキュリティ、ソーシャルメディア、クラウド&PCの4章に再構成し、新たに書き下ろしも追加しています。セキュリティに詳しくない“普通の方々”へ届くことを目的とした連載ですので、書籍の形になったのは個人的にも本当にありがたいことです。みなさんのご家族や知り合いのうち「ネットで記事を読まない方」に届けばうれしいです。
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