インターネット経由でラジオを同時配信(サイマル配信)する「radiko.jp」が近く5周年を迎える。昨年始めた、居住地域を問わず全国の放送を楽しめる有料サービスは利用者が15万人を超え、想定以上のペースで拡大。「地上波放送では難しいニーズに応え、ラジオ業界全体の未来につなげたい」――運営元に現状と課題を聞いた。
「radiko.jp」は2010年3月にスタートしたAM/FMラジオ放送のネット配信サービス。「地上波の補完」という位置付けで、ビル陰や高層住宅などラジオ電波が入りにくい地域の難聴取対策を主目的として始まった。配信対応局は現在全国73局(うち、エリアフリー未参加は4局)で、今年度下期にも3局、4月以降にも新たに数局の参加が決まっているという。
民放ラジオ局などが出資する運営会社・radikoの岩井淳社長は「全101局の民放ラジオ局をすべてカバーするのが当面の目標」と掲げる。
月間利用者数は1200〜1300万人で推移しており、習慣的に利用しているユーザーの率も高い。ラジオを聴きにくい都市部がターゲットだったこともあり、関東・近畿・中部からのアクセスが全体の約70%を占めるが、新規参加局の拡大により少しずつ全国に広がりを見せている。ユーザーの半分以上を30〜40代が占め、平均年齢は42.5歳、男女比は7対3。地上波のリスナーと比べると若年層率、女性率が高い。
朝の通勤時間はスマホで、昼間の仕事中はPCで――など、生活シーンに合わせて好きなデバイスで楽しめるのも特徴だ。スマートフォン経由の聴取は堅調に伸びており、現在はユーザーの約6割が利用している(PCとの併用含む)。身近なツールで楽しめるようになったことで、radikoで初めてラジオ番組に触れた新規ファン(13.6%)、再び親しむようになった復活ファン(30.4%)など、地上波放送だけではリーチできなかった層に広がっているのも大きな成果だ。
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