AWSにも真っ向勝負――富士通の新クラウド事業戦略Weekly Memo(1/2 ページ)

富士通があらためてクラウド事業に注力する姿勢を明確に打ち出し、パブリッククラウドサービスで先行するAWSにも真っ向勝負を挑む。その新たな戦略とは――。

» 2015年10月05日 17時00分 公開
[松岡功ITmedia]

「デジタルビジネス・プラットフォーム」を新ブランド化

 富士通が9月29日、今年5月にコンセプトを打ち出した「デジタルビジネス・プラットフォーム」の新ブランドと、その中核となるクラウドサービス「FUJITSU Cloud Service K5」(以下、K5)の提供形態などについて発表した。

 同社が提供するデジタルビジネス・プラットフォームは、クラウド、モバイル、ビッグデータ、IoT(Internet of Things)などの最先端技術と、同社のシステムエンジニア(SE)の知見・ノウハウを融合。これにより、ビジネスのデジタル革新を実現するシステム(SoE:Systems of Engagement)と、従来の情報システム(Systems of Record)との連携を可能にしたものだ(関連記事)。

 今回の発表ではこのデジタルビジネス・プラットフォームを「FUJITSU Digital Business Platform MetaArc」(以下、MetaArc)という新たなブランドに仕立て上げたことを明言。会見で説明に立った富士通の阪井洋之 執行役員常務グローバルマーケティング部門長によると、MetaArcのMetaはギリシャ語で「超える」、Arcは弧を描くという意味から「つなぐ」ととらえ、「組織・企業・業界の枠を“超え”、人・モノ・情報を“つなぎ”、お客様と共にデジタル革新を実現する」との想いを込めたという。

 MetaArcの全体像は図1の通りである。それぞれの内容については富士通の発表資料をご覧いただくとして、ここでは今回の発表と同時に販売開始されたK5にフォーカスしたい。

weeklymemo 図1:「FUJITSU Digital Business Platform MetaArc」の全体像

 K5は、IaaS構築用ソフト「OpenStack」やPaaS構築用ソフト「Cloud Foundry」といったオープンソースソフト(OSS)に基づくオープン技術と、富士通のノウハウを融合したクラウドサービスである。阪井氏は「SoEに求められるスピードや柔軟性と、SoRに求められる高信頼性を兼ね備えたクラウド基盤だ」と強調した。

 K5のコンセプトも今年5月に発表されており、5月18日掲載の本コラム「新たなクラウド戦略を打ち出した富士通の思惑」で解説しているので参照していただきたい。そのうえで今回の発表で明らかになったのは、図2に示した具体的なサービスの提供形態だ。阪井氏によると、「セキュリティやコストの要件に合わせ、パブリックからオンプレミスまで“4+1”(4つのサービスと1つのプロダクト販売)の形態で提供する」という。

 こうしたK5の差異化ポイントについて、阪井氏は「ハイブリッドニーズに応える安心・安全な4+1のモデルを提供」「お客様と培ったSEのナレッジを搭載したPaaS」「社内実践で磨き上げたサービスを継続的に提供」の3点を挙げた。

weeklymemo 図2:クラウドサービス「K5」の提供形態
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