成長復活の秘策に? ヤマダ電機が挑む現場改革のいまCIOインタビュー(2/2 ページ)

» 2015年11月17日 08時00分 公開
[國谷武史ITmedia]
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数字でも語れるように

 コミュニケーション活性化に向けた施策が、ビジネスインテリジェンス(BI)ツールの活用だ。販売実績などの様々なデータをリアルタイムに本部と現場で共有しながら、現状把握や改善策などのコミュニケーションを密にして行動につなげる。KPIを定め、データを通じた共通認識を可能にすることがポイントになっている。

 タブレット端末ではエリアマネージャーと店長向けのダッシュボードが提供され、エリアマネージャー向けのビューでは担当地域における各店舗の状況をグラフィカルレポートで把握したり、分析する。店長向けのビューでも同様に店舗単位で状況を確認できる。チャットを使ってエリアマネージャーと店長間で必要な取り組みなどをリアルタイムにコミュニケーションできるようにする予定で、例えば、ある店舗でうまくいっている施策をスピーディーに他の店舗にも展開するといったアクションが可能になる。

 このシステムではマイクロストラテジーのツールを採用しているが、ヤマダ電機が必要とする機能やタブレット端末でも使いやすいユーザーインタフェースが標準で備わっていることから、大規模なカスタマイズなどは行わない。ただし当初から要件定義を固めることはせず、プロトタイプのリリースと現場からのフィードバックの反映というサイクルを何度も繰り返すことで、システムとして完成度を高めるアプローチをとっている。

 「現場と会社を盛り上げていく話をするだけも数字が上がります。現場が自分たちの数字を見て情報を共有し、コミュニケーションを取りながら、いいところはどんどん取り入れて実践していく仕組みを全社的に実現したいと考えています。心が通う人間的な仕組みです」と飯塚氏は話す。


 市場が激しく変化する中で、従前のスタイルを継続したまま業績を高めることは至難だろう。家電販売を手掛ける同社が物流センターの運営に乗り出したのも、結果的に業界の物流スタイルを変革する成果につながった。

ヤマダ電機 2015年10月30日に東京・八重洲口にオープンした新業態の「Concept LABI TOKYO」

 現在、同社の店舗では家電だけでなく日用雑貨、通信サービス、住宅リフォームまで広く扱い、「家電量販」の域にとどまらなくなっている。ロボットビジネスや電力小売りの自由化といった新たな動きもビジネスチャンスにつながることが期待されている。

 「当社にとってはお客様に喜んでもらえることが最も重要です。そのためにも、コストを抑えつつ現場に貢献する仕組みを実現したいと思います」(飯塚氏)

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