マイナンバー2015

個人のマイナンバー対応とセキュリティの注意点萩原栄幸の情報セキュリティ相談室(2/2 ページ)

» 2015年12月11日 07時30分 公開
[萩原栄幸ITmedia]
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個人番号カードを申請する

 通知カードの下側には、2016年1月1日から開始される個人番号カード交付申請書がある。もし個人番号カードを利用したいならこの部分を切り取り、写真を同封して(もしくはスマートフォンやPCから申請用のWebサイトにアクセスして顔写真を送信できる)、申請を行う。個人番号カードの申請は「任意」ではある。しかし筆者としては、今後のことを考えて年末年始の空いている時間に申請だけはしておいた方が良いと強く感じている。

 会社員なら、会社からマイナンバーを通知するように言われているはず。それは源泉徴収票にこのマイナンバーを記載しなければいけないからだ。正確には、国税に提出する方にのみマイナンバーを記載するようになっているので、会社はにマイナンバーを通知しなればいけないということだ。

マイナンバー法に触れる違法行為に注意

 また、既に逮捕者も出ているがマイナンバーの便乗詐欺には十分に注意したい。仮に本人が注意していても、実家の両親や親族にはぜひ帰省の時にでも、「国や市長村は電話や口頭でマイナンバーを教えてほしいとは絶対に言わない。それは100%詐欺だよ」と必ず伝えてほしい。

マイナンバー マイナンバーを狙った巧妙な犯罪に注意(警察庁より)

 マイナンバー詐欺行為は今後ますます巧妙になり、年配者を中心にその餌食になってしまう可能性がある。その被害を防ぐには、自分たちの力で両親や親族、周囲の方々の動向に目を配り、啓蒙することが大切だ。特に本人の写真がついた個人番号カードは運転免許のない方々にとっては身分を証明するとても重要なカードになるだろう。絶対に紛失や置き忘れには注意してほしい。

マイナンバー 不審な電話があったと時の通報先は?(消費者庁より)

 そして以前にも触れたが、例えば、レンタルショップで新規会員登録を行う時に問題が起こりやすい。本人確認に個人番号カードを提出する際には十分に注意し、店側も運転免許証のような以前からの習慣で個人番号カードの裏面をコピーしてしまうと、その時点で違法行為になってしまうで、絶対にしてはいけない。

 来店客やほかの店員から見えないところでコピーをするという行為自体がいけないことだと全員が知っておくべきだ。万一個人番号カードの裏面をコピーしようとしたら必ず声をかけ、「コピーは法律で禁止されていますよ。警察に通報しなければなりませんので、速やかにコピーを中止してください」ときちんと伝える。

 また、電話などでもオレオレ詐欺の一環や、マイナンバーを話すと景品が当たったり、半額割引券を郵送するといったりといった甘い文句でマイナンバーを盗むなどの行為があり得る。SNSなどでもマイナンバーを公開してはいけない。行動に細心の注意を払ってほしい。

 これも以前に伝えたが、日本でも世界各国と同様にマイナンバーの漏えいは時間の問題だと考えられる。国や地方自治体がどんなにがんばってマイナンバーの漏えいを防いでも、従業員とその家族のマイナンバーを保有している日本の全ての企業が完璧な情報漏えい対策を実施しているとは思えない。

 万一自分のマイナンバーが漏えいしたらどうすべきか、ということをぜひ会社と一緒になって検討し、その行動について事前にシミュレーションしておくべきだ。マイナンバーの漏えいは本人の努力だけでは防げない。もし漏えいが起きても、慌てず冷静に対応できる気持ちの余裕を持ちたいものである。

萩原栄幸

日本セキュリティ・マネジメント学会常任理事、「先端技術・情報犯罪とセキュリティ研究会」主査。社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会技術顧問、CFE 公認不正検査士。旧通産省の情報処理技術者試験の最難関である「特種」に最年少(当時)で合格。2008年6月まで三菱東京UFJ銀行に勤務、実験室「テクノ巣」の責任者を務める。

組織内部犯罪やネット犯罪、コンプライアンス、情報セキュリティ、クラウド、スマホ、BYODなどをテーマに講演、執筆、コンサルティングと幅広く活躍中。「個人情報はこうして盗まれる」(KK ベストセラーズ)や「デジタル・フォレンジック辞典」(日科技連出版)など著書多数。

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