仕事やタスクをメンバーにアサインするのも、プロマネの大事な仕事です。ですが、思ったように積極的に取り組んでくれない……と悩む人も多いのではないでしょうか。今回は人のモチベーションを左右する5つの要素についてご紹介します。
現代のプロジェクトマネジャーは、昔よりも難しいといわれています。多様な人材や混沌とした状況に苦しみ、「自分は向かない」と自信を失うこともあるでしょう。この連載は、プロマネになりたての人や、役職に就いたが“やることが山積みで、関係者の間で日々翻弄されている”人が、限られた権限やリソースの中で「ヒューマン/ビジネススキル」を使ってチームをよい状態へ導くことをテーマに、さまざまなスキルや活用法をご紹介します。
これまで本連載では、柔軟な心を持つ方法、メンバーの心をまとめる方法、情報の取り扱い方を紹介してきました。今回から数回にわたって、4つ目の道具「仕事や関わり方を調整するスキル」を紹介していきます。
これは端的に言うと「メンバーにどう仕事を与え、どう成長させていくか」という視点です。この点について悩んでいる方は多いと思いますが、これも立派なプロマネの仕事です。もちろん、仕事のアサインや人事権について、全て決められるほどの権限を持っているケースは非常に少ないでしょうが、与えられた権限の中でさまざまな工夫はできるのです。
今回はまず「仕事(タスク)のアサイン」について、押さえるべき点を考えます。役割決めや仕事の割り振りとまでいかなくとも、タスクの調整にも活用できます。ここではその全てを指して“タスク”と表現します。
はっきり言ってしまえば、タスクのアサインは簡単なことではありません。指示する際のコミュニケーションで、メンバーの取り組み姿勢が変わることは往々にしてあります。やりがいがあるであろうタスクを任せてみても、思った通りに行動しなかったり、地味だけど重要なタスクにそっぽを向かれてしまったり。
せっかくなら、振った仕事に積極的に取り組んでほしいと思うプロマネは多いことでしょう。その方が成果も高まるはずです。では、メンバーはどんなタスクであれば、進んでやる気になるのでしょうか。
やる気に関する研究は非常に数が多いのですが、まずは「外発的動機付け」と「内発的動機付け」の2種類で分けて考えてみましょう。これは“人は何によってやろうという気持ちになるか”を考えたときに「自分の外側」と「自分の内側」からの刺激に分けられる、という考え方です。
自分の外側というのは、「このタスクで成果出したら“報奨金が出る(給与が上がる)”“別のプロジェクトでいいポジションにつける”など、外的な評価や報酬といった刺激によって動機づけるというもの。馬の鼻先にニンジンをぶら下げたり、お手伝いするとお小遣いをもらえるといったイメージです。
こちらはプロマネ自身に金銭的な権限や人事権などあると使える手段ですが、正直確約しづらい話です。そして外的な刺激だけに頼っていると、その内「ニンジンがないと、動かないメンバー」になってしまい、それはそれでやっかいな話になりかねません。
そのため、プロマネとしてはメンバーの内面――つまり、メンバーの“やりたいからやる”という感情を刺激する方法を知り、タスクを降る際の参考にするとよいでしょう。これが内発的動機付けです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.