成長しやすいメンバーと成長しにくいメンバー。両者にはシンプルな違いがあります。それは「経験から学べるかどうか」という点です。それではメンバーが経験から学べるようにするには、どうすればいいのでしょうか。
現代のプロジェクトマネジャーは、昔よりも難しいといわれています。多様な人材や混沌とした状況に苦しみ、「自分は向かない」と自信を失うこともあるでしょう。この連載は、プロマネになりたての人や、役職に就いたが“やることが山積みで、関係者の間で日々翻弄されている”人が、限られた権限やリソースの中で「ヒューマン/ビジネススキル」を使ってチームをよい状態へ導くことをテーマに、さまざまなスキルや活用法をご紹介します。
プロジェクトマネジャーにとって、メンバーの育て方は悩み多き問題。前回の記事では、「全員平等に面倒を見ることが、正しいとは限らない」というお話をしました。メンバーの特性に合わせて手のかけ方をコントロールすることで、効率のいい育て方ができるのです。
さて、今回は成長を期待する全てのメンバーに対して、押さえておきたい共通のポイントをご紹介します。それは、“手をかけなくても成長していくための条件”です。
すぐ伸びる人となかなか伸びない人には、シンプルな違いがあります。「経験から学べるかどうか」という点です。多くの優秀なマネジャーを調査した結果、業種や職種を問わず、以下の「経験から学ぶ力モデル」を意識的(または無意識的)に行っていたことが分かりました。なので、成長してほしいと思っているメンバーには、このモデルの実践者になれるようサポートするとよいのです。
端的に言うと、「思い(仕事をする上でのこだわり)」と「つながり(人的なネットワーク)」を大切にし、「挑戦し、振り返り、楽しみながら」仕事をするとき、経験から多くのことを学ぶことができるというわけです。それではまず、円の外側の3要素を簡単に説明すると次のようになります。
仕事でも経験でも、何かする場合には少し“背伸び”した内容に取り組むこと
経験したことに対し、きちんと振り返りを行い、次へと生かすこと
仕事の意義や達成感を感じ、仕事を楽しむこと
もちろんメンバー本人が、3つの要素を感じられるように自身の仕事をコントロールできるのが一番良いのですが、日々の業務に忙殺され、そこまで気が回らない人も多いのが普通でしょう。そこでプロマネの出番です。メンバーがこの3要素を実感できるように働きかけ、成長を促します。
それでは、各要素についてどのような働きかけがあるか、次ページで紹介していきます。
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