Microsoft AzureとIBM Watsonが出会う日Weekly Memo(2/2 ページ)

» 2016年03月14日 17時00分 公開
[松岡功ITmedia]
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これからのICTプラットフォームの2大要素が出会う日

Photo Pepperとともにポーズをとるソフトバンクロボティクスの冨澤文秀社長(左)と日本マイクロソフトの平野拓也社長

 一方、ソフトバンクロボティクスは1月7日に米IBMと共同で、PepperにIBMのコグニティブ(認知)技術である「IBM Watson」を搭載し、企業に向けて幅広く提供していくことを発表した。さらに2月18日には、日本IBMとソフトバンクが1年がかりで共同開発してきたWatsonの日本語版を提供開始。Pepperでも日本語版を利用できるようになり、まずは銀行の顧客応対などのサービスへの適用が図られつつある。

 Watsonを搭載したPepperの活用も、そのバックボーンとなるプラットフォームはクラウドだ。そう考えると、AI(人工知能)技術の活用の仕方に違いはあるものの、Pepperから見ればAzureおよびWatsonとの連携ソリューションは重複しているようにも思える。日本マイクロソフトとの共同会見でこの点を問われたソフトバンクロボティクスの冨澤氏は次のように答えた。

 「マイクロソフトとは、まず小売業向けソリューションから始めており、(金融業向けサービスから始めた)IBMとの協業とは分野が異なっている。ただ、Pepperは基本的にオープンなプラットフォームであることから、市場のニーズがあればどのような技術とも積極的にコラボレーションしていく」

 Pepperをフロントエンドのデバイスと考えると、そのバックボーンとなるプラットフォームやアプリケーションにはこだわらず、“市場のニーズがあればどんなものでも対応する”というのが、基本的な立ち位置なのだろう。

 そこで、ふと思い至った。Pepperのような「全方位の協業によるビジネス拡大」の姿勢は、Microsoft AzureおよびIBM Watsonとも同じではないだろうか。いずれもクラウドプラットフォームとAI技術の活用が可能な点では競合するが、協業によってビジネスが拡大するならば、クラウドプラットフォームを広げたいマイクロソフトと、コグニティブ技術を広げたいIBMの思惑が一致して、Azure上でWatsonが利用できる日が来るかもしれない。ひょっとしたら、Pepperがその“仲介役”を果たすことも考えられる。

 筆者がこう考えるのは、これからのICTプラットフォームは「クラウド」と「AIを駆使したビッグデータ活用」が2大要素になると見ているからだ。そしてその2大要素を前提とした場合の勢力争いにも注目したい。両面で高度な技術を持ち、ICTと異なる領域で稼ぐAmazon.comやGoogleに、既存のICTベンダーは今後どうやって戦っていくのか。そんな思いも頭の中をよぎる。

 今回、PepperがWatsonやAzureと出会った。これを契機にお互いの強みを生かして「AzureとWatsonが出会う日」が来るのではないか、と予想しておきたい。

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