多くの企業が何らかの形でクラウドを導入しているが、データやシステムのバックアップ、災害対策にはオンプレミスを好む傾向が強いという。ベリタスが予定している取り組みを説明した。
ベリタステクノロジーズは7月21日、メディア向け説明会を開いて企業のクラウド利用に関する調査の結果と製品のロードマップを紹介した。ハイブリッドクラウド環境におけるデータやシステムの保護策について将来像を明らかにした。
調査では500人以上の企業を対象に8カ国でアンケートを実施。1849社(日本は188社)が回答した。それによると、パブリッククラウド導入率は27%、プライベートクラウドの導入率は37%で、企業はプライベートクラウドを好む傾向が強いとしている。
パブリッククラウドを使わない理由の上位は、「セキュリティ/データ保護」(45%)、「コスト」(33%)、「性能」(29%)、「機密データを置けない」(26%)だった。一方、プライベートクラウドを使う理由の上位は、「低リスク」(21%)、「クラウドベンダーのロックイン回避」「機密データを手元に置く必要性」(いずれも15%)だった。
企業のIT環境では、オンプレミスやプライベート/パブリックのクラウドサービスをさまざまに組み合わせるハイブリッドクラウドの導入が進みつつあるとされる。
ベリタス インフォメーション・アベイラビリティ アーキテクトの星野隆義氏は、上記の理由のうち「セキュリティ/データ保護」「機密データの保管」「ロックイン回避」の点で企業はパブリッククラウドの利用をためらい、ハイブリッドクラウドの本格的な普及において障壁になっていると解説した。
星野氏によれば、同社が展開しているストレージ管理やバックアップ、レプリケーションなどの製品では、パブリッククラウドへの対応を中心にしたロードマップを計画しているという。
例えば、ストレージ管理の「InfoScale」(以前の名称はStorage Foundation)は、5月のバージョンアップでストレージに暗号化ボリュームを作成できるようにした。パブリッククラウドのストレージサービスに保管するデータも悪用から守れるという。
また、2015年にはレプリケーションソフトウェア「Resiliency Platform」をリリースした。まだ日本語環境に対応していないが、同製品では2017年までにハイパーバイザやIaaSの差異を意識することなく、ディザスタリカバリ(災害復旧)サイトへシステムをレプリケーションできるようにする。
同時期には大規模環境向けバックアップソフトのNetBackupとも連係させる予定。レプリケーションのような短時間復旧を目指す必要がないシステムでも、ディザスタリカバリサイトに復旧用のシステム環境を容易に構築できるようにする。NetBackup自体もAWSやGoogle、日立製作所などのクラウドサービスに対応を図っているという。
星野氏は、こうした取り組みで企業のハイブリッドクラウド化を促進させたいと説明した。
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