IoTへの期待が高まる一方、その課題にも注目が集まっている。最大の課題は、数ミリ秒以内のほぼリアルタイムのレスポンスが求められること。IIJが新サービスの発表を機に掲げた、この課題への取り組みとは。
インターネットイニシアティブ(IIJ)が先頃、各種デバイスのセンサー情報の収集から、蓄積・可視化、制御・管理の自動化まで、IoT(Internet of Things)システムに必要な全ての機能を一体化し、クラウド上の“共通プラットフォーム”として提供する「IIJ IoTサービス」を発表した。
新サービスは、IoTシステムに必要なデバイス管理やネットワーク、セキュリティ、クラウドなどの各要素と、それらを統合的に管理する機能を提供。これまで個別に機器やサービスを調達し、組み合わせて構築していたIoTシステムを1つのサービスとして提供することで、ユーザーは低コストかつ短期間で導入でき、新たなビジネス創出へ注力することができるとしている。
図1が新サービスの概念図、図2がサービスメニューで、2016年11月から順次提供開始される。IIJは新サービスの特徴として、「個別構築が不要で、容易なシステム導入を実現」「高セキュリティなネットワークサービス」「センサー機器の自動制御により運用負荷を軽減」といった点を挙げている。詳しくは発表資料を参照いただくとして、ここでは発表会見の中で同社が説明したIoTの現状や課題、今後の方向性に関する話が非常に興味深かったので、取り上げておきたい。
説明に立ったIIJクラウド本部の染谷直 副本部長によると、まずIoTの現状については、「一部大手企業でIoTを活用したビジネスが登場するも、市場全体ではビジネスモデル検証が開始されたフェーズ」と位置付けた。その根拠として、図3のように「IoT利用企業は現在4.9%」(IDC)、「IoTの専門部署やグループが存在する企業は現在10.1%」(ガートナー)にすぎないという民間調査の結果を挙げた。
また、染谷氏は、日本においてIoT普及を阻む要因として、これまでユーザー企業のITシステムを構築してきたシステムインテグレーター(SIer)にIoTを手掛けた経験が乏しい一方、ユーザー企業が自らIoTに取り組もうとしてもITについてSIerへ依存してきたために知見が乏しいという、ITに関する日本独特の産業構造を挙げた。
この点におけるIIJのスタンスは、SIerだけでなくユーザー企業も自らIoTを活用したアイデアを生かせるようなプラットフォームを提供すべき、というものである。
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