この記事は横山哲也氏のブログ「仕事と生活と私――ITエンジニアの人生」より転載、編集しています。
「近頃の若者はPCが使えない」という。海外に比べて、若者のPC所有率が低いんだそうだ。これを問題視する日本人はけっこう多いらしい。ちょうどこの見方でうまくまとまめられた記事(「PCを使えない学生が急増」の問題点)があった。この記事にあるような「学生のうちにPCが使えるようになるべきだ」という風潮が最近あるように思うが、果たしてそうだろうか? 実はそんな必要はないのではないか、と思うのだ。
ほとんどの企業は、学生時代に身に付けたスキルに対して即戦力としての期待はしていないだろう。考えてみて欲しい。多くの学生は、他人の電話を取り次いだ経験を持たず、初対面の人に電話したこともない。そこから教えないといけないのだから、PCの使い方を知らなくても大した問題ではない。知っていたからといって新人研修期間が短くなるわけでもなし。
そもそも「学生はPCの使い方を知らない」と言う大人は、本当に使い方を知っているだろうか。電卓をたたきながらExcelのセルに数字を埋める人、Word文書のレイアウトをスペースと改行で調整する人、PowerPointの「スライドマスター」機能を利用せずにスライドを作る人……。そして、こういう人が「PCを知っている」と自分で思っている場合も少なくないのだから、ひどい話である。そういう大人たちが、“本当の使い方”を教えることもできないのに、自分たちにできないことを新卒に要求するのは、酷なことではないか。
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