システム開発を進める上で強力なトレーサビリティーツールとなる「システム開発地図(System Development Map)」について解説。第3回は、地図の見方と、業務フローを記述する具体的な手順を解説します。
前回は、システム開発地図の特徴や、利用シーンなどを紹介し、システム開発にどのように役立つのかをお話ししました。
今回は、地図の見方を説明し、具体的な活用手順をお話ししたいと思います。
システム開発地図には、要件定義を中心として業務分析から実装までが描かれています。
システム開発地図のPDFは、豆蔵のサイトからダウンロードできます。
成果物は、メンバーの教育コストを考えて、なるべく標準の書式であるUMLを利用するようにしています。UMLと同等の表現力がある別の記法を採用しても構いません。現場のルールによってカスタマイズするといいでしょう。
行う作業については、次のようなマークに大まかな粒度で書かれています。
作業の成果物は、作業からの黄色い矢印で示されています。
成果物同士の関連は、水色の矢印で示されています。矢印の方向は、作成する順番を示しています。
成果物の中に現れる要素同士の関連は、紫の点線矢印で示されています。矢印の方向は、変換する方向を示しています。
それでは、業務分析の「業務フローを記述する」という作業について、具体的内容を説明していきます。
ここでは、対象ビジネスの業務をモデル化した「業務機能構造図」に現れた業務について、課題となっている業務の手順を確認することが主目的になります。業務の中で扱われる情報として、概念モデリングで得られる概念クラス図が関連してきます。
業務フローを記述する目的は、以下の通りです。
入力としては「業務機能構造図」と「概念クラス図」があり、出力は「業務フロー」と「ビジネスルール」になります。
UMLを使用する場合、業務フローはアクティビティー図を用いて記述します。業務フローを記述する作業は、大まかには次のようなものです。
ビジネスイベントとは、例えば在庫管理業務では「出庫する」「入庫する」などの単位となります。その業務を行う人や関係するシステムを抽出してスイムレーンに割り当て、業務の流れやシステムとのコミュニケーションを記述していきます。作業手順としては、以下のようになります。
注1: 業務フローを記述する際に、アクティビティーをどの単位でまとめればいいか分からないということがよく問題になります。現場の作業者が行う作業を理解することが目的であれば、作業者をまたがらないようにし、作業の区切りで同じ役割の別の人に引き継げる程度にまとめると良いでしょう。ただし、1つのアクティビティーの中に人の判断が含まれる場合は、アクティビティーを分けたほうが、人に伝わりやすいモデルになります。コラム「アクティビティーの単位」を参照してください。
注2: フローで表現するといっても、ただ単に順番につないでいけばいいというわけではありません。ある業務をどのように表現すればいいのかということも、よく問題になります。コラム「業務フローの書き方」を参照してください。
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