次期Windows 10のCreators Update 3D機能は企業にメリットあり?Enterprise IT Kaleidoscope(1/3 ページ)

Windows 10の次期アップデート「Creators Update」の新機能は一見企業ユースとは無縁だが、意外な可能性を秘めるかもしれない。2017年の展望も占ってみたい。

» 2016年11月30日 07時00分 公開
[山本雅史ITmedia]

 Microsoftは、10月末に開催したイベントで次期Windows 10のアップデート版「Windows 10 Creators Update」(以下Creators Update)を披露した。提供時期は2017年中としているが、現状では同年春頃といわれている。なお、このイベントはコンシューマー向けであったため、Creators Update(開発コード名はRedStone 2)の全ての機能が紹介されたわけではない。

注目の3D機能

 Creators Updateの最大の特徴は3次元(3D)機能だろう。Windows 10は、HoloLensのように現実世界のビューに3DグラフィックやPCのディスプレイ画像をはめ込む製品をサポートしている。同社は、HoloLensを「Mixed Reality」(現実空間と仮想空間をミックスする)と呼んでいるが、一般的には「Virtual Reality」(VR)や「Argument Reality」(AR:拡張現実)と言われている。ちなみに、VRは現実空間との合成を行わず、コンピュータグラフィックで仮想空間を構築する。ARはMixed Realityとほぼ同義だ。

 Creators Updateでは、PC版のWindows 10にHololensと同じフレームワークが搭載される。つまり、OSのインフラとしてMixed Realityがサポートされる。

 2016年7月にリリースされたAnniversary Updateでも、Hololensのフレームワークが一部搭載されていた。このためAnniversary Updateには、3Dオブジェクトを作成する「3D Builder」というアプリが追加された。ただしPC上で3Dオブジェクトを作成しても、あまり活用はできないので、ほとんど利用されていないようだ。

 こうし状況を変えるために考えられたのは、Hololensに使われているテクノロジーをハードウェアベンダーに公開するという取り組みだ。PCに接続するMixed Reality HMD(ヘッドマウント ディスプレイ)を各ハードウェアベンダーが開発している。

 計画では2017年の春〜夏頃にかけて、MR HMDがPCベンダーや周辺機器ベンダーから提供される予定だ。価格に関しては299ドルからと、他社のVR HMDに比べて非常に低価格になる。Microsoft仕様のMR HMDを動かすPC側のハードウェア条件は公開されていないが、あまり高性能なCPUやGPUが必要ないようにしたいとMicrosoftは思っているようだ。

 ハードウェアベンダーがリリースするMR HMDは、PC接続型が中心になるようだが、一部メーカーはHoloLensと同じように、HMDだけで稼働する(PC機能がHMDに内蔵されている)製品も計画しているようである。

ハードウェアベンダーが発売するMR HMDのイメージ。価格は299ドルからと、他のVR HMDに比べて安い。ただしイメージ写真はHoloLensのようなMRではなくVRのようだ

 またCreators Updateでは、Windows 10付属のペイントソフトが3D環境に対応し、「ペイント3D」にアップデートされる。2次元(2D)の絵を描いたり、編集したりするだけでなく、3Dの物体を簡単に描けるほか、2Dの画像に奥行きを持たせて3D空間に配置できるようになる。簡単に言えば、最近のアニメのように背景や車、建物、人物などをそれぞれレイヤのようにし、奥行きを考えて配置する。さらに、3Dのオブジェクトをその中に入れ込むことができるという具合だ。

 多くのユーザーが使うペイントアプリを3D化することで、MiceosoftはPCでもMRやVRが身近になるように考えている。それだけではMRやVRが一気に普及するとは思えないものの、PCに接続できるMR HMDが低価格で提供されることで、新たなPCのマーケットが構築されそうだ。

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