ストレージのスケールアウトはどのようなメリットがあるか仮想化&ストレージの基礎と最前線(1/2 ページ)

低コストや高可用性、拡張性などで注目を集めているスケールアウト型ストレージ。その特徴を大きく3つに分けて詳しく見ていきましょう。

» 2017年01月05日 17時30分 公開
[羽鳥正明ITmedia]

この記事は羽鳥正明氏のブログ「仮想化&ストレージの基礎と最前線」より転載、編集しています。


 今日はストレージのスケールアウトについてお話します。

 スケールアウト型ストレージは、拡張性や管理性において、それまで市場に登場していたスケールアップ型ストレージにはない利点を持ち、仮想化の利用が本格化した中にあって非常に注目を浴びています。スケールアウト型ストレージは、データペースや仮想マシン用のデータストアなどのニーズを想定して作られており、多数のボリュームを効率よく管理する基盤となるストレージプールを構築することが、その発想の原点にあるといえます。

 サーバ仮想化では、複数の物理サーバのリソースを論理的なリソースプールとしてひとまとめにし、そこから各仮想マシンにリソースを割り当てますが、スケールアウト型ストレージでも、複数の物理ストレージのリソースを論理的なストレージプールとしてひとまとめにし、そこから各ボリュームにリソースを割り当てる方法をとることにより、高い拡張性を維持することに成功しているのです。

1. 容量と性能を拡できるのが大きな特徴

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 スケールアウト型のストレージは複数のサーバをスイッチでつなぎ合わせることによって束ねて、1つのファイルシステムとして管理していくものです。拡張が無停止で実現可能であり、物理的には無限に近い拡張性を持つことができるのが魅力となるものです。

 DAS、SAN、NASなど従前からのスケールアップ型ストレージでは1つのコントローラーの下にディスクが配置されるという構成であったため、増設の度にノードであるサーバのCPUを追加させなくてはならないという大きな問題がありました。このやり方ですと、無停止で拡張はできませんし、コントローラーユニット経由の接続となるため負担が掛かることになります。そもそもコントローラーユニットの拡張や増加というものは容易ではなく、またコントローラーユニット障害が発生すると、全てのデータがアクセス不可になるといった大きな問題も抱えることになっていたのです。

 しかしスケールアウト型ストレージであれば、ユーザーから見たときには常に1つのファイルシステムであり、ノードであるサーバには独立して接続し、アクセスが可能となる点が優れているといえます。さらに、ディスク故障が発生した場合には自動的にノード間でテータを補完することで稼働を継続することができるようになっていますので、より安全でノンストップの利用が可能になるのです。

 スケールアウト型の場合には、各ノードにCPUが搭載されていますから、容量を増設してもパフォーマンスを保つことができますが、スケールアップ型はどうしてもパフォーマンスに影響が出る点が大きく異なるものとなります。

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