変化を嫌う現場の“抵抗勢力”、3つの攻略法失敗しない「外資系」パッケージソフトとの付き合い方(1/3 ページ)

外資系パッケージソフトの導入で失敗しないための方法を解説する本連載。選定も終わっていざ導入しようとしたものの、現場での抵抗に遭い、結局方向性がブレてしまった――なんて経験はありませんか?

» 2016年12月19日 08時00分 公開
photo 今回は現場の“抵抗勢力”についてのお話です

 「ビジネスのデジタル化」「デジタルトランスフォーメーション」「デジタルディスラプション」――。読者の皆さんもUberやAirbnbの例とともにこれらの言葉を一度は聞いたことがあると思います。ここ数年で急速に広まり、「今年の10大ニュース」や「来年の10大予測」といったトピックでも必ず出てくるトレンドでしょう。

 このように「これまでの古い方法を捨てて現状を変えたい」「他社に先んじて新しいことに取り組んで競争に勝ちたい」という企業に対して、ソフトウェアの力でお手伝いすることが私の仕事です。

 決して安くはないソフトウェアとサービスを、変革のために購入(投資)いただくわけですが、いざ導入の現場に入ると、まるで“180度違う”文化に触れることもしばしばあります。今回ご紹介するのは、導入を決めたソフトウェアが、対極の考えで全く生かされずに導入に失敗するケースです。皆さんはこんな会話を見て、どう思われますか?

失敗事例6:変化を嫌う「現場の抵抗」

購入企業の導入担当者A:……いや、この業務は報告書を紙で提出して、取引先に確認印をもらうプロセスになっているので、そのソフトウェアで電子化することはできません。

ベンダーのプロジェクト担当者B:いえ、このソフトウェアを購入いただいたのは、そういった人手による紙での受け渡しをなくすことで利便性を高め、業務効率化とコスト削減を図るのが目的なのです。見てください、こうやって取引先の確認もスマホ、タブレットでできるようになるんですよ。

A:便利なのは分かるのですが、今までのやり方を変えることになるので、お客さまへの説明も必要ですし、手間もかかってとても面倒です。それに取引先だって年配の方が多いから、今まで通り、紙とはんこの方がいいと言って反対されるに決まっています。ここは何とか紙の運用を残すことで進めたいのですが。決裁者の本部長には、やり方は現場で決めていいと言われているので、決定権は私にあります。

B:もともと想定していた効果が得られなくなりますが、それでもその方法を残しますか。

A:ええ。取引先への説明が必要となるとやむを得ないでしょう。それに、承認をスマホやタブレットで見られるようにするには、ネットワーク部門やセキュリティ部門の管轄になりますし、あそこに話をするのは面倒なので避けたいのです。そこは私の責任範囲ではないので、どうしてもやるのであれば御社でそこを説得してきてくださいよ。

B:(うーん、困ったな)……ひとまずおっしゃることは分かりました、次回の定例会で議題として挙げることにしましょう。

 当然ながら、こうした雰囲気でプロジェクトが進めば、まず失敗してしまうのですが、このやりとりの中のどこが問題なのでしょうか。

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