外資系パッケージソフトの導入で失敗しないための方法を解説する本連載。導入プロジェクトも佳境に差しかかり、いよいよ本格稼働に移行……というときにアレ? 今回はそんな失敗例を紹介します。
突然ですが、皆さんに質問です。システムの導入プロジェクトの期間中で、最も緊張するフェーズはどこでしたか?
プロジェクトにはいろいろなフェーズがありますが、商用(本番)環境へのリリースと答える人が多いのではないでしょうか。これは、本連載で紹介しているパッケージソフトウェアだけではなく、システム全般に当てはまることですが、リリースまでの作業は、言ってしまえば“準備”や“リハーサル”であり、商用環境へ展開して初めて本番と言えます。
演劇に例えるならば、プロジェクトにおける「設計」や「構築」といったフェーズは公演初日までの会場手配やけいこといった準備で、本番環境へのリリースは舞台初日と言えます。大きな舞台であればあるほど、失敗は許されませんし、その出来栄えはその後の客入りや成否を決めます。今回はそんな大事な場面で起こりそうな失敗例をご紹介していきます。
そもそもの話になりますが、契約段階で問題があり、失敗してしまうケースは少なくありません。一般的な国内SIとの契約では、「ベンダー側が何でもやる」というような、ユーザーに有利、もしくは曖昧な契約を結び、いざとなったらベンダーにさまざまなことを任せるケースが見受けられますが、外資系企業の場合、そのような契約を結ぶことはまずないでしょう。
請負契約の場合は完成基準が明記され、支援契約の場合、期間や工数、実施内容といった支援形態が明記されます。その結果、以下のような失敗が考えられます。
何らかの理由でスケジュールが遅延したときに、支援契約で当初定められた期間内にリリースを迎えられず、リリース前に契約が終了してしまうケースがあります。
遅延の原因はさまざまだと思いますが、本連載でも、過度のカスタマイズによる遅延を例として挙げました。1〜2カ月程度は延長できることもあるかもしれませんが、そのプロジェクト期間が終了した後に、別のプロジェクトをベンダーが契約していた場合、スケジュールの問題で延長できないこともあります。
「え! 途中で逃げるんですか!?」と思われるかもしれませんが、契約に期間があるのは“当たり前”のこと。むしろ、いつまでもユーザーにベンダーが付き合ってくれる方がイレギュラーだと認識した方がよいでしょう。
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