しかし一方で、戦術や技術にばかり配慮してしまうと、できることだけを実現するDMPが誕生してしまいます。現実的と言えば聞こえはいいですが、例えば「TVCMの出稿データとWebやリアル店舗の来店状況をクロスで分析して、顧客行動が高まるクリエイティブ要素を明らかにした後に、クリエイティブの差し替えをDMPからできるようにならないかな?」というような理想論が、「今はできない」という壁の前に屈し続けることになります。
大きな効果を上げられない、“コンサバ”なDMPができてしまう問題に対しては、広告主であるユーザー企業やSIer、広告代理店、ツールベンダーといったDMPの関係者が技術に対して真摯に向き合うしかないのではないかと感じています。
特にSIerやツールベンダーが新しい技術に挑戦する際には、広告主であるユーザー企業、広告代理店がテストユーザーになるなど、ぜひ積極的に受け入れていただきたいと思っています。
パナソニックの創業者である松下幸之助について語られる逸話の1つに「3%のコストダウンは難しいが、3割ならばすぐにできる」というものがあります。これは「目先の改善は難しいが、作り直すぐらいの見直しの方が実現の可能性は高まる」ことを意味しています。
これと同じように「今はできない」と決めることは「この先もしばらくできない」と同義です。本当にやるべきことであるならば、何かを抜本的に見直す必要があるし、私を含めた技術者が一生懸命頭を絞るから、そのためのプレ導入くらいは応援しても良いのでないかと思うのです。
すぐできること、時間をかければできること、そして(今はできないけど今後は)できるかもしれないこと。こうした戦術と技術の先に、DMPが実現する戦略があるのではないでしょうか。前回のお話でも触れましたが、DMPを進めるにあたって「技術への理解」は最低限必要な条件に変わりつつあるのかもしれません。
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