プレイヤーが多いプロジェクトほど、役割と責任の所在が曖昧になってしまうもの。特にDMPでは、仕切り役の人間が不在になり、システムの運用で行き詰まるケースも多いのです。DMPを進める主体となるのは、一体誰なのでしょうか?
誰がいつまでに、何を行い、何を作り、どれだけのコストになるのか。プロジェクトマネジメントには、それぞれの役割を定義することが欠かせません。ですがまれに、そうした定石を無視してしまい、“炎上”することがあるようです。
DMPを構築するプロジェクトが始まってしばらくすると、俺たちSIerにユーザー企業から「DMP自体を今後どう使えばいいか、提案してください」と指令が下りました。慌てて代理店と戦略会議の毎日。DMP運用の主体は俺たちSIerなんだっけ? もしかして導入が終わった後も、この週次レポートを作り続けないといけないのかな……。
DMPとはシステムである――これはウソでも大げさな表現でもありません。大規模なデータを蓄積し活用する「Treasure Data」、分析やレポーティングを行うインタフェースとしての「Tableau」「QlikView」といったシステム群はDMPに欠かせない存在です。従って、SIerがシステム構築を支援するのは、ユーザー企業にとって心強いことでしょう。
しかし、矛盾しているようではありますが、DMPはシステム構築が全てではありません。連載の第1回でお話ししたように、DMPとは「インサイトとアクションおよび、そのために必要な全て」であり、システムというのは最後に書いている“必要な部分”に過ぎません。
ここで問題となるのは、DMPを主導するプロジェクトマネジャーを、システムを構築するSIer、ユーザー企業のマーケティングを支援する広告代理店、プロジェクトのオーナーでもあるユーザー企業のうち、どの企業が務めるのか? という点です。
この線引きが曖昧なままプロジェクトを進行したことで、「システムは完成したものの、運用がままならない」という話をよく聞きます。今回は、DMPにおけるプロジェクトの進め方を考えていきましょう。
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