外資系パッケージソフトの導入で失敗しないための方法を解説する本連載。「提案の時は簡単に使えると聞いていたのに……」「動作確認のスクリーンショット取らないの?」 そんなユーザーとベンダーの“すれ違い”から起きる悲劇についてお話します。
システム導入プロジェクトも佳境に差しかかり、いよいよ本格稼働に移行! そんなときにこそワナは潜んでいるものです。リリースから運用フェーズへとスムーズに移行するにはどうすればいいのか。今回は、パッケージソフトを導入した企業とベンダーとの間に生じる認識のズレに起因する失敗例を取り上げたいと思います。
「弊社のソフトウェアは、難解なコマンドライン、スクリプトで操作する類のソフトウェアと違い、GUIベースです。ドラック&ドロップといった直観的な操作で、誰でも簡単に使えるようになりますよ」
パッケージソフトウェアの提案を受けたことがある方であれば、一度はベンダーからこういう説明をされたことがあるでしょう。もちろん、正しいことを言っているのだと思いますが、最後の「誰でも簡単に」というのは誤解を招く表現です。そこには大抵、次の言葉が抜けています。
単機能でシンプルなソフトウェアならばともかく、数千万、数億単位の投資を伴うエンタープライズ向けのパッケージソフトウェアにおいて、「買ったらすぐに誰でも簡単に使える」ものを、私は見たことがありません。一般的には、何種類ものマニュアルがあり、トレーニングのカリキュラムが用意されていますし、インストールや設定、カスタマイズを専門とするコンサルティングサービスが存在するものもあります。そのソフトウェアに取り扱いに習熟が必要な証拠です。
この認識のズレは、ユーザーのプロジェクトに対する関わり方にも起因します。前回取り上げた契約の形態を例にすると、支援型(準委任)でユーザー側に主導権があり、当初から自分たちが積極的に関わる場合は、最初にその製品について学ぶところから始まることが多く、製品選定の際も、利用者視点でユーザビリティを重視するので、そのような誤解が生じにくいのです。
反対に、請負型のようなベンダー主導でシステムを導入するような場合は、ユーザー側は完成されたモノを「納品される」立場で、引き渡しの段階までその使い方を知らないことがあり得ます。そうなると、いざ使う段階で「あれ、聞いていたのと違うぞ」ということになるわけです。
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