NECと日本オラクルが発表したクラウド分野の提携は、Oracleにとってクラウドサービスの新たな普及戦略を本格的にスタートさせたことを意味している。
「これまで30年にわたり、両社で企業のミッションクリティカルなシステムニーズに応えてきたが、このたびクラウド分野で新たな協業をスタートさせることになった」
NECでクラウド事業を担当する橋谷直樹 執行役員は、日本オラクルでクラウド事業を担当する石積尚幸 執行役副社長とともに、両社が2月14日に開いた提携発表会見の冒頭でこう切り出した。
提携内容は、Oracleのクラウドサービス「Oracle Cloud」をNECの国内データセンターから提供するとともに、Oracle CloudとNECの業務ソリューションとの連携を図るのが骨子だ。
具体的には、顧客やパートナーのデータセンターにOracle Cloud環境を構築する「Oracle Cloud at Customer」をNECの国内データセンターに設置し、同センターを通じて顧客ごとにOracleのクラウドサービスを提供。これにより、顧客のデータを保全しつつ、既存システムのクラウドへの円滑な移行を支援するという。NECは今回の提携で、マネージドサービスの一環として国内で初めてOracle Cloud at Customerの一次保守を提供する。(図1参照)
提携内容の詳細については関連記事をご覧いただくとして、ここでは発表会見での両氏の印象的な発言を紹介しておこう。
「NECがこれまでOracle製品を利用してシステムの構築やサポートを提供してきたお客さまに対し、クラウドの選択肢を増やし、柔軟かつ最適なシステム構築のニーズに応えていきたい」(橋谷氏)
「Oracleとしては、NECが持つシステム構築やサポートのケイパビリティとともに、全国の販売・サポート網によるクラウド活用を協力して促進していきたい」(石積氏)
橋谷氏の発言は、まずOracle製品を利用しているNECの顧客に対してクラウドの選択肢を提供したいとの思いを語ったものだ。ちなみに、NECにおけるOracle関連の対応システム数は年間3000件、保守契約システム数は1万5000システムで、いずれも国内最大級だという。
一方、石積氏の発言は、NECが持つ全国カバレッジの展開力への期待を示したものである。実はこの点に、クラウドサービスのさらなる普及に向けたOracleの新たな戦略が見て取れる。
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