先祖返り? DB不要の日本発プラットフォームで基幹システムをスリム化

元大和証券CIOの鈴木氏とシェルスクリプトで企業の情報システムを開発してきた當仲氏が出会い、新会社が産声を上げた。目指すのは「シンプル&スリム」だ。

» 2017年04月06日 11時00分 公開
[浅井英二ITmedia]
新会社、GBLのCEOに就任した鈴木孝一氏

 「やり残したことがあるとすれば、情報システムのシンプル化とスリム化を1社でも多くの日本企業で推し進めること」── そう話すのは、大和証券のCIOとして同グループのシステム刷新を主導した鈴木孝一氏だ。彼はこの春、大和総研ホールディングスを退職したのを機に、シンプルで使いやすいITサービスを企画し、企業に提供する新会社「GBL」を設立し、CEOとして活動を開始した。

 GBLの基本ポリシーは、「データ」を大切にし、情報システムを「シンプル&スリム」に保つということ。鈴木CEOが長いキャリアの中で常に追求してきた情報システムに対する考え方でもある。新会社にCTOとして参画するユニバーサル・シェル・プログラミング研究所の當仲寛哲氏が研究と普及活動を展開してきたユニケージ開発手法を採用、特定の業種や業務ごとにシンプルでスリムなデータ管理のプラットフォームを提供していくという。

 ユニケージ開発手法は、UNIX系OSのファイルシステムにデータを保存し、シェルスクリプトでコマンドを呼び出してバッチ処理するのを特徴とする。ミドルウェアが幅を利かせている時代にあって、先祖返りのような技術や思想だが、成城石井や良品計画、東急ハンズなどで実績を重ねてきた。

 4月5日に都内で行われた記者会見で當仲CTOは、「データベースを使わず、ファイルシステムにデータを整理整頓して保存する。IoTやAIをはじめとするさまざまな次世代ITを上手く連携させ、ビッグデータから得られる知見をビジネスに活用していくには、こうした考え方による基幹システムのスリム化は不可欠だ」と話す。新会社では、次世代ITを開発するベンチャー企業と協業し、企業が使いやすい形で提供していくという。もちろん、ERPやOLTPシステムのようなレガシーシステムもそのまま生かしながら連携させていく選択肢もあるという。

 鈴木氏は、「社名のGBLは、Global Business Languageの略。日本発のシンプルでスリムなプラットフォームをユーザー企業の情報システム部門やシステムインテグレーターと一緒になって開発し、企業やIT業界の国際競争力の向上に貢献したい」と話す。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ