ITの“一昔”は1年前、“二昔前”は3年前と心得よITソリューション塾(2/2 ページ)

» 2017年05月12日 09時00分 公開
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ITの“一昔”は1年前、“二昔”は3年前と心得よ

 特に、ITにおける変化は、冒頭でも述べたように、とても多様で複雑です。ビジネスの常識もどんどん変わります。その変化の脈絡と構造を理解することに関心を持てないとすれば、生き残ることはできないのです。

 私は、そういうことを若い世代にしっかりと教えなければいけないと思っています。彼らが、未来を作り、将来の会社を支えていくのです。しかし、現実には、それを怠っている企業は少なくないようです。

 例えば、新入社員研修で「情報処理の基礎」は教えます。しかし、「最新のトレンド」は教えません。確かに基礎は大切です。しかし、仮想化やクラウドの記述さえまともになく、仮にあったとしても、“一昔”あるいは“二昔前”の出来事がさらりと語られているに過ぎません。IoTや人工知能について教えているところはほぼ聞いたことがありません。

 ITの“一昔”とは1年前、“二昔”とは3年前といったところでしょうか。このスピードこそが、この業界の特性でもあるとすれば、常に最新を伝えること、それを学び続けることの大切さと方法は、新人研修にはなくてはならないことなのです。そして、彼らの仕事の可能性にわくわくさせられなければ、自ら学ぼうという意欲を引き出すことはできないでしょう。IT企業の新入社員研修にとって、この点を譲ってはいけないと信じています。

 この問題については、長年の鬱積(うっせき)となっていました。何かできることはないだろうか。そして自分なりの答えが、『【図解】コレ1枚でわかる最新ITトレンド』の執筆でした。2015年に出した初版は4刷を数えるまでになりましたが、もはや“一昔”を超えてしまいました、そこで、内容を一新し、「増強改訂版」として、2017年5月10日に出版します

 これまで、ITソリューション塾や新人研修で伝えてきたこと、あるいはブログで語ってきたことなどの中から、若い人たち、例えば新入社員やIT業界に入社しようという内定者に、ITの価値や最先端を伝え、その可能性に興味を持ってもらいたいという思いを形にしようという試みです。ITソリューション塾同様、パワーポイントのプレゼンテーションをダウンロードできるようにしました。それは、誰かに伝え、知識や言葉を自分のモノにするきっかけも提供したいと思ったからです。

 もちろん「単語は知っているけど、そのつながりや全体像がいまひとつ整理できていない」という現職の人たちの役にも立つでしょう。また「ITをもっと使って新しいビジネスを作りたい、競争力を高めたい。でも、IT部門やベンダーに聞いても最新の動きがよく分からない」と業を煮やしている事業部門の方や経営者にも役立つかもしれません。何よりも頭の柔らかい若い人たちにこそ、読んでもらいたいと願っています。

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 ITは、私たちに変化を促しています。いや、「変化しないと生き残れないぞ!」とテクノロジーの進化は、私たちを脅しているのかもしれません。私は、その片棒を担いでいきたいと思っています。

 もう50年も前の話です。私が小学校へ上がるとき、その入学式で上級生の鼓笛隊が演奏していたのが「鉄腕アトム」のテーマ曲でした。いまでもはっきりと覚えています。残念ながら、まだ「鉄腕アトム」の時代にはなってはいませんが、そんな未来も現実に近づきつつあります。

 なんともますます面白い時代になりました。わくわくします。その思いを若い世代に引き継いでいきたいものです。

著者プロフィル:斎藤昌義

book 未来を味方にする技術

 日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。詳しいプロフィルはこちら。最新テクノロジーやビジネスの動向をまとめたプレゼンテーションデータをロイヤルティーフリーで提供する「ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA」はこちら


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