「自分がもし、顧客企業の社長だったら」――と想像しながら営業できているだろうか? 「生き残れない営業」の特徴と、その克服策となる「生き残れる営業」の条件を解説します。
以下に挙げるのは、営業に関わる多くの人たちから聞き取ったことを、20項目に整理したものです。果たしてあなたは、あるいはあなたの会社の営業は、どれだけ該当するでしょうか?
こういうことを克服していく取り組みが、必要になるのでしょう。
このリストを見ていると、対象的に、「生き残れる営業」の3つの条件が浮かび上がってきます。
相手を大切に思うならば、相手の幸せを望み、それを実現したいと願い、行動します。そのためには、相手をもっと理解しようと努力するでしょう。今、何に困り、何を実現したいのか。業務や経営はどうなっているのか。そういったさまざまなことを知りたいと思うはずです。
そして、相手を幸せにするには、どうすれば良いかと思案し行動します。言葉を換えれば、「愛情」といえるかもしれません。
そんな思いを持って相手に接すれば、相手もこちらを受け入れ、一緒になって対処しようと思ってくれます。
これは、愛情にも通じる話でもあります。
相手を知るといっても、相手の全てを知ることは不可能です。だから、想像を働かせ、相手を理解しようと努めます。
そして、それを言葉や行動で示しながら、それが事実かどうかを確認していきます。しかつめらしい言い方をすれば、「仮説検証」ということになるでしょう。
自分の主張だけをまくし立て、「これが理解できないおまえがおかしい」と言わんばかりに、相手の言葉を封じ込める営業がいますが、そのような行為に及ぶのは、次の3つの理由が考えられます。
知識がない場合 自分が知っていることが少ないために、質問をされても答えられません。だから、自分の知っていることをまくし立て、相手に反論の余地を与えないようにして自分を守ろうとするためです。
自分を客観的に見られない場合 「オレはこんな努力をしているのになぜ分かってもらえないんだ」と同じ理屈です。自分の知っていること、信じていることが正しいと思い込み、それを客観的な視点で批判的に評価しようとしません。これは、「勉強不足」いや「勉強嫌い」が原因ではないでしょうか。世の中のことを知ろうと努力すれば、自(おの)ずと自分の置かれている状況を客観的に見られるようになります。自分が世界の中心ではなく、自分が世界のどこにいるかが分かるようになります。
想像力が欠如している場合 相手が今、どう思っているのかを想像できません。笑顔でうなずいてくれているのが、実は単なる社交辞令かもしれないということが想像できないのです。自己満足に酔いしれ、まるで神様にでもなったかのような陶酔に浸っているのではないでしょうか。
自分と相手の関係を想像できないことが、そのような状況を生み出すのです。想像力なくして、相手との良好な関係を築くことはできません。そのためには、知識を広め、深めることが前提になります。全ての分野でとはいわないまでも、自分が専門としている分野、あるいは自分の担当する顧客については、誰よりも詳しいという自負を持てるだけの知識を持つ必要があるでしょう。知識は、想像の精度や確度を高めます。それを提示できれば、顧客は、あなたを信頼の置ける存在として認めてくれるようになるでしょう。
「生き残れる営業」に必要な、愛情や誠実さ、知識、そして想像力。これらをうまく働かせるには、武器をそろえ、磨かなくてはなりません。
どんなに優れた提案であっても「汚い提案書」を平気で持って行くようでは、信頼はガタ落ちです。
スケジュールや段取りを確実に、効率よくこなす能力も必要になります。テクノロジーに支えられたツールをうまく使いこなし、効率を高め、知識を収集する努力も怠ってはいけません。知識の幅を広めなくてはいけません。本を読んだり、研修に参加したりすることばかりが知識の獲得ではないのです。顧客や社内以外の人たちとのコミュニティーにも関わるなど、自分を磨く機会をつくることに、楽しみを感じられるようになることが大切です。
「生き残れない」とは、結果に過ぎません。顧客から必要とされる存在になれば、結果として生き残ることができるのです。企業にとって、そんな当たり前なことを常に意識できる組織をつくっていくことが大切なのだと思います。
参考: 『システムインテグレーション再生の戦略 〜 いまSIerは何を考え、動向どうすればいいのか?』
日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。詳しいプロフィールはこちら。最新テクノロジーやビジネスの動向をまとめたプレゼンテーションデータをロイヤルティーフリーで提供する「ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA」はこちら。
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