AI分野で次々と“競合と協業”するMicrosoft、その狙いはMostly Harmless(2/2 ページ)

» 2017年09月15日 07時00分 公開
[大越章司ITmedia]
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先行するGoogleに追い付く戦略か

 私が思うに、今回の動きはAIで先行するGoogleに追い付くために、Microsoftが第2グループをまとめにかかっている――ということではないでしょうか。

 AI開発は競争が激しいと同時にコストも時間もかかる分野であり、単独よりは協業の方が効果を上げやすいでしょう。共通の敵を設定できれば、そこに追い付くまでは協力する方がメリットが大きいと考えられるからです。

 かつて、Microsoftは逆の立場に置かれていました。オープンソースの「Linux」が出てきたとき、Microsoftは最初、ハナも引っ掛けませんでした。しかし、Microsoft以外の企業はLinuxの採用を進め、その後サーバOSとしてLinuxは一大勢力にのし上がってMicrosoftを苦しめました。これは、独占状態であったMicrosoftが、オープンソースを中心にした他社連合に追い落とされたと見ることもできます。

 それを逆手にとったのが、今回のMicrosoftということができるのではないでしょうか。オープンな技術とそれを中心にした協業は、独占状態や1社が突出した状況を崩す力を秘めています。

 Microsoftは、2014年にナデラCEOが就任し、それまでの方針を大転換しました。OSへのこだわりを捨て、クラウドに舵を切り、オープンソースとの和解も成し遂げました。その結果は良い方向に働いているように見えます。今回の一連の提携は、それに続く“第2幕の幕開け”となるのかもしれません。

著者プロフィール:大越章司

外資系ソフトウェア/ハードウェアベンダーでマーケティングを経験。現在はIT企業向けのマーケティングコンサルタント。詳しいプロフィールはこちら


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