日本にはAIを開発する先端IT人材が不足している――。このような問題が叫ばれています。それを解決するために、政府も動き出しています。しかし、そのアプローチは正しいものなのでしょうか?
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人工知能について、よく議論されるテーマの1つに「人材不足」というものがあります。今後、人々の生活やビジネスに人工知能が普及していくにあたって、この問題は避けて通れないものになるでしょう。
過去の連載でも少し触れましたが、ディープラーニングを含む、機械学習などを習練した“先端IT人材”は圧倒的に不足しているといわれてます。経済産業省が出した予測では、2020年には約4万8000人が不足するとしており、人工知能のビジネス活用が遅れる要因の1つとして挙げられています。
そのためには、既に社会で活躍しているビジネスパーソンが1から学び直すだけでなく、学校教育そのものの見直しが必要ではないか? という声が上がっています。2012年に内閣に設置された日本経済再生本部では、「第4次産業革命 人材育成推進会議」が開催され、関係各省からあるべき姿が提案されています。
「今すぐ人工知能開発のための教育を実践していくべきだ!」と訴える評論家、エンジニアは多く、政府もようやく動き出しつつあります。それでは、政府はどのように対応しようとしているのでしょうか。
まず、義務教育過程については、文部科学省の方針もあり、2020年度から小学校でプログラミング教育が必修となる予定です。ここまでコンピュータが浸透した社会なので、当然の流れとも言えますが、具体的にどのような授業を行うのかは、あまり知られていないように思えます。
名前だけを聞くと、小学生のうちからコーディングを学ぶようにも受け取れますが、そうではありません。同省は、プログラミング教育に対する有識者会議の結果を「小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について」として公表しています。その中で、プログラミング教育について、以下のように定義しています。
プログラミング教育とは、子供たちに、コンピュータに意図した処理を行うよう指示することができるということを体験させながら、将来どのような職業に就くとしても、時代を超えて普遍的に求められる力としての「プログラミング的思考」などを育むことであり、コーディングを覚えることが目的ではない
ここで紹介している「プログラミング的思考」について、文中では「自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つひとつの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力」と紹介しています。
私はこの方針に大賛成です。よくぞ言ってくれたと思います。
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