NECがデジタルトランスフォーメーション(DX)事業を体系化した。DXとは具体的に何なのかと問われることがまだまだ少なくない中で、同社によるその体系化で正体を探った。
「デジタルトランスフォーメーション(DX)という言葉は、あと1〜2年たつと使われなくなるかもしれないが、デジタル化への取り組みは企業にとっても社会にとってもゴールのないジャーニー(旅路)になる」――NECの榎本亮 執行役員兼最高マーケティング責任者(CMO)は、同社が先頃開いたDXへの取り組みにおける発表会見でこう語った。
発表内容は、NECがこれまで個別に提供してきたDX関連の製品、サービスを「NEC DXソリューション」として体系化し、新製品も加えてDX事業の強化を図ったものだ。
DXとは具体的に何なのかと問われることがまだまだ少なくない中で、それを体系化したNECのDXソリューションを見れば、DXの正体を探ることができるのではないか。今回はそんな意図を込めて同社のDXへの取り組みを考察してみたい。
榎本氏はまずNECが考えるDXについて、「何らかの価値を実世界に返すということ。まずは実世界をサイバー世界に取り込むために、見える化して何が起きているのかをデジタルに捉えて分析し、そこから得た新たな価値を対処策として実世界に返すと。こうした取り組みを行うことによって、企業や産業、都市、人に活力をもたらすのがDXの本質だと捉えている」と説明した。(図1)
こうした考え方を基に今回体系化されたNECのDXソリューションは、図2に示したように「アプリケーション」「プラットフォーム」「人材」「パートナーエコシステム」の4つのドメインからなる。
この中で、人材については、顧客企業のDXに向けたビジネスモデルの仮説立案、先進技術の活用検証、高度なデータ分析などを行う専門部隊を、2018年度中にグループ全体で1000人体制に整備。さらに、アーキテクト、SE、ソフトウェア開発者、営業、運用/保守担当者など、顧客企業のDXに関わるNEC内のさまざまな人材の約1万7000人を対象として2017年度中に教育プログラムを実施し、順次NECグループ内に展開していく構えだ。
また、パートナーエコシステムについては、「AI・IoTビジネス共創コミュニティ」を準備し、共同で顧客企業のDXを支援していく。現在、210社との共創をスタートしているという。
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