そして、NECのDXソリューションにおけるアプリケーションとプラットフォームの内容を示したのが図3である。榎本氏によると、NECのAI技術群「NEC the WISE」を活用した「業種アプリケーション」と「共通アプリケーション」、及びそれらを支えるプラットフォーム「NEC the WISE IoT Platform」で構成されているという。
つまり、NECのDXソリューションは、AI(人工知能)とIoT(Internet of Things)の技術をベースとしたプラットフォームの上で、ほぼ全業種に対応したアプリケーションが用意されている形だ。DXとは具体的に何なのかと問われた際には、NECのソリューション事例として図2と図3を示せば全体像をイメージできるだろう。
なお、NECでは今回、DXソリューションの新製品として、業種アプリケーション領域において「集客施設価値向上ソリューション」と「鉄道オペレーション&メンテナンスソリューション」、プラットフォーム領域においてAI活用プラットフォーム「NEC Advanced Analytics Cloud with 異種混合学習」と「NEC映像分析基盤」の4種類を発表した。これらの内容については発表資料をご覧いただきたい。
今回の会見での榎本氏の話で、冒頭に紹介した「ゴールのないジャーニー」発言とともに印象深かったのは、「現在NECが展開している事業はほとんどDXの範ちゅうに入る」という見解だ。これはすなわち、従来のシステム構築、運用事業もDXの範ちゅうに入ることを示していると受け取れる。
これまでは、ともすればDXはデジタルという言葉に象徴される新しい取り組みであり、従来のシステム構築、運用事業とは一線を画す形で受け取られていたイメージがあるが、榎本氏の見解は「DXは全てをのみ込む」というもので、これまでの捉え方とは異なる。
実は、こうした捉え方を最近、取材先で耳にするようになった。大手コンサルティング会社の幹部は、「企業においてDXが進めば、全社的なガバナンスやセキュリティの観点から従来のシステムにもDXへの対応が求められるようになる」と話していた。これは従来のシステム側からの見方だが、逆に言えば「DXにのみ込まれる」とも捉えることができる。
そう考えると、今後さらに拡充されるであろうNECのDXソリューションは、榎本氏の冒頭の発言にあるように、そのうちDXが外れて同社の全事業を意味するものになっている可能性が高い。それがDXの正体なのではないか。
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