ToDoリストは、“すべきこと”を誰が見ても分かるように書く必要がある。そうでないと「備忘」の役割を果たせない。
例えば、
この表現は、状況を書いているだけで、“すべきこと”が直接書かれているわけではない。「だから、何?」「結局何をすればいいの?」が書かれていない。
この表現なら、“すべきこと”が書かれている状態になる。だが、これだけでは情報不足。「何をしたら決定できるのか」「何をしたら検討したことになるのか」が分からないからだ。
これを見た人が、想像力を働かせて「ああ、決定するためには、あれやって、これやって、この人と合意すればいいな」などと考えてくれればアクションがとれるだろう。そうでなければ、「決定するって書いてあるけど結局何をすればいいのか?」となるだろう。これでは「備忘」としての役割は果たせない。
極端な例でいえば、「地球平和について考える」とToDoリストに書かれていても、記述がざっくりしすぎていて何をすればいいのかよく分からないはずだ。こんなふうに読み手に負荷をかける書き方をしているToDoリストが多い。
この表現なら、頭を使わなくても次のアクションがとれるだろう。例えば「xx地域の紛争について、解決の案をまとめる」「xxさんに検討中のA案/B案を説明し、どちらでいくか決定してもらう」でもいい。ToDoリストなので、“考えなくてもアクションがとれる”で記述するべきなのだ。
ToDoは“やって終わり”ではないはずだ。ToDoの後に次のToDoがつながっていくから、物事が進んでいくのである。それにもかかわらず、単発的な記述になっているものが多い。
このように記述しておくと、連続性が保てる。また、そのToDoが“何のための”ToDoなのかを見失わなくて済む。忙しいプロジェクトで日々ToDoに追われていると、消化することだけが目的化してしまうこともある。何のためにこれをやっているのかを常に意識するためにも、次のアクションを書くことには意味がある。そして、次のアクションによって、ToDoの優先順位も決まってくる。
案外、「期限」が抜けていることが多いので注意だ。
ToDoリストについて棚下しをすると、たいてい「このToDo、何だっけ?」「結局何をすればよいんだっけ?」なんて確認が発生するものだ。
だが、今回説明したような“お作法”が押さえられていれば、「進捗の管理」がしやすくなる。複数の人間が見て使うものは、一定の“お作法”を守るのが案外重要なのだ。
そうすれば、ToDoそのものの確認ではなく、進んでない理由の確認に時間を使える。また、「何をするToDoなのかが明確に書かれていれば、第三者の支援も入れやすくなる。
簡単に思えるToDoリストですら、実は意外と奥が深い。しかも、ここまで考えることでちょっとした差が生まれ、やがてそれが決定的な差になる。考える力が鍛えられ、圧倒的な成長がもたらされる。現状を疑う力が鍛えられ、“羊が狼に”化ける。
たかがToDoリスト、されどToDoリスト。あなたのプロジェクトのToDoリストは大丈夫だろうか?
コンサルティング会社、ケンブリッジのコンサルタント。一級建築士。ファシリテーションとITを武器に変革プロジェクトを支援しています。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.