日本ヒューレット・パッカード(HPE)が、日本マイクロソフトとコラボレーションして日本の働き方改革を推進する。
4月11日、日本ヒューレット・パッカード(HPE)が、次世代ミーティングルーム「HPE Intelligent Spaces」の提供を開始、本社がある東京・大島オフィス内にショーケースを開設した。
このHPE Intelligent Spacesは、2016年に開かれた「HPE Discover 2016 London」で公開されたHPE Arubaのワークプレイステクノロジーに、米MicrosoftのOffice 365 EnterpriseやSkype for Businessといったエンタープライズ向けクラウドサービス、そしてOS(Windows 10)を組み合わせて提供されるソリューションだ。
具体的には、所定のアプリを導入したスマートフォンとPCをショールームに持ち込むと、会議室の状況などが自動更新されるほか、ミーティングに必要なコラボレーションツールが起動し、会議終了時は打ち合わせで作られたドキュメントなどが共有される。さまざまな面で、会議の効率化をサポートする仕組みだ。
同社では、日本マイクロソフトとのコラボレーションによって、限られた会議室の最適利用やコスト削減に加え、従業員の利便性と生産性の向上を提案することで、日本における働き方改革を推進していくという。
発表会では、日本ヒューレット・パッカード 代表取締役社長執行役員 吉田仁志氏が、働き方改革に関する同社の取り組みや、その背景について説明した。
「日本では人口の減少が課題になっている。人口減とともに国力が減っていき、一部の報道では2015年に6000万〜7000万人程度いるという労働人口も、2060年代には40%も減少してしまうという。ただでさえ全体の人口が少ないのに、これから労働人口が減っていく中で、働きやすい仕組みがまだできていないのも課題だ」と指摘。
「ビジネスのスピードが加速している中で企業は変革を求められており、生産性を高める必要がある。日本では労働時間が長く、通勤時間で往復2〜3時間も使っている。これも解決していかないといけない問題だ」と述べ、HPEの取り組みや考え方を披露した。
吉田氏は「生産性を高めるには、ワークライフをバランスするのではなく、ワークとライフを統合していくのが大事。在宅勤務だけではなく、社内でいかに働けるのかもポイントで、社内や社外の場所を問わず、働きたくなる環境を整えることが重要になる」とし、これからは「会社で仕事をする」時代から「会社を社員に届ける」時代になるとの見通しを示した。
HPEでは、10年以上前からフレックスタイムや在宅勤務制度が導入済みだ。上司のいない環境で、本当にきちんと仕事をしているのかといった、会社と社員の信頼関係にもかかっており、企業文化の変革も同時に求められるところだ。吉田氏も、「会社対従業員(業務に従うもの)という構図から、ビジネスパートナーという関係を築かなければならない。社員一人一人が、独立したビジネスマンとして活躍していく必要がある」とまとめた。
HPE Intelligent Spacesを支える、エンタープライズ向けサービスを提供する日本マイクロソフトからは、 平野拓也代表取締役社長が招かれた。
「企業で働くサラリーマンは大正時代から始まり、今では多くの人がサラリーマンとなっているのが現状だ。わいわいと徹夜して頑張る時代から、ITがじわじわと浸透して会議や働き方ががらりと変わってきている。こういった働き方を変えるのが、今ではクラウドやAIにあたる。働き方改革は、マイクロソフトのコアとなるミッションだ」と平野氏。
「働き方改革の基盤となるクラウドを支えているのがOffice 365 Enterprise E5であり、日経銘柄(225社)の約80%が導入済みだ。Skype for Businessなど当社の先進的なテクノロジーを活用しているのがHPEであり、半歩先の未来を体感できるスペースがIntelligent Spacesである」と指摘し、「このワークスペースの中には、マイクロソフトの最新テクノロジーが提供されている。こういった働き方改革は、日本の課題の1丁目1番地になっている。日本マイクロソフトや日本HPのノウハウを共有、提供していくことで新たな働き方改革を提唱できているのではないかと自負している」とアピールした。
働き方改革にITテクノロジーを導入する視点として、同社が挙げるポイントは3つある。1つは生産性や効率性をいかにあげていくのかという点、1つは会議室や座席の数といったコスト面、最後に重要なのは人が分散していくと避けられないセキュリティの確保も大事だという(日本ヒューレット・パッカード 執行役員 エンタープライズグループ事業統括 テクノロジーコンサルティング事業統括 事業統括本部長 小川光由氏)。
今回公開されたHPE Intelligent Spacesは、離れた場所でもコミュニケーションが行える「デジタルコラボレーション」の一角を担うソリューションだ。ショールームの展開はイタリア(ジェノバ)、シンガポールに続く3カ国目となり、ソリューションの中身は顧客との打ち合わせを通して要素を決めていくとのこと。
小川氏は「HPE Intelligent Spacesでいかに会議を効率化できるか、いかに業務を自動化できるか、いかに限られた会議室を有効に使っていくか、テクノロジーを使ってコミュニケーションを効率化できるかといった課題の解決を図っていく」とし、今後もHPE Intelligent Spaces方面にも投資を続けていきたいと考えているとの方針を語った。
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