「会計マスターの分散」が引き起こす、与信判断の重大なミス今こそ見直す「データガバナンス」(4)(1/2 ページ)

データガバナンスやMDMを見直すポイントを紹介する本連載。最終回となる今回は、与信管理の視点から、MDMがなぜ重要なのかをお話しします。データが整備されていないことで、相当手痛いミスを引き起こしてしまう事例は、意外に少なくないのです。

» 2017年11月29日 08時00分 公開
[堀雄介ITmedia]

 こんにちは。東京商工リサーチでプリセールスをしている堀です。マスターデータや取引先データの重要性を解説するこのシリーズもいよいよ4回目を迎えました。今回のテーマは「与信管理」です。

 企業がある取引先と取引を開始してもいいか。そのよしあしはどのような条件で成立するのか。各条件によって、どれだけの取引量を許容するか――といった判断を行う際、データの整備が非常に重要になるのです。

会計マスターがぐちゃぐちゃだと、何が起こるのか?

 古くは「台帳」や「ホストコンピュータ」で一元的に管理されてきた会計マスターは、業務ごとに最適化されたクラウドサービスの浸透や企業内組織の構造化、事業所の多店舗展開などに伴って分散しがちです。あなたの会社は、今どのような状況になっているか把握していますか?

 例えば、大手建設会社のE社は、会計マスターが整備されていないことで、入金の消込処理を誤るという経理上のミスが生じていたほか、取引先に対して設定している取引限度額を超えてしまうという事態を引き起こし、その結果、売掛金が回収できなくなる事態が頻発していました。

 彼らはその後、全ての顧客コードにひもづく企業コードを付与し、会計システム上で「その会社にどれだけの取引が発生しているか」を即座に集計できる体制を整え、この問題に対処しました。

 与信管理においては、「取引先をどのように評価するか」を判断する前に、「各取引先とどれだけの取引が発生しているか」を把握し、可視化することが重要であり、マスターの整備はその第一歩といえるでしょう。

photo 会計マスターが不備だらけだと……
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