全てのOSSテクノロジーをAzure上で 加速するMicrosoftのオープンソース戦略Microsoft Focus(3/3 ページ)

» 2017年11月30日 07時00分 公開
[大河原克行ITmedia]
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OSSに4領域からアプローチ

 Microsoftでは、OSSに対して、「Enable」「Integrate」「Release」「Contribute」という4つの領域からアプローチを行っているという。

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 「Enable」では、Dockerなど幅広い開発環境への対応により、場所に制限されることなくクラウドに移行しやすいオープンなプラットフォームを提供し、「Integrate」では、Hadoopへの対応をはじめとして、主要なエコシステムの統合やアジリティの向上、一貫したOSSクラウドサービスの提供を目指す。

 また、「Release」では、SQL Server 2017が、Windows環境だけでなく、「Red hat」をはじめとするLinux上で動作することや、「Docker」をサポートしたことに触れながら、「Microsoftのポートフォリオに対して、強力なOSSエコシステムがサポートできる環境を提供する」と述べた。

 2017年5月からは、「Azure Database for MySQL」と「Azure Database for PostgreSQL」のプレビュー版の提供をそれぞれ開始しており、2018年には、Linuxのサーバ上で、Windowsのコンテナを動作させるといったことも予定している。また、「Contribute」は、コミュニティーへの貢献を指し、これによって、パートナーやユーザーにさまざまな体験を提供できるとした。

 「いかにMicrosoftの新たなテクノロジーをOSSコミュニティーに使ってもらうかが重要である。ここに継続的に投資をしていくことになる」とする。

国内ではOSS Champによるコミュニティー支援も

 日本マイクロソフトも、OSSへの取り組みをさらに加速させる計画だ。

 日本マイクロソフトの浅野本部長は、製造、金融、流通・小売、政府・自治体、医療の5つの重点業種を対象に、OSSを対象にした20人の専任部門を設置したり、構築ナレッジを横展開したりする取り組みを開始するとし、「製造業ではIoTの領域において、あるいは金融ではチャットbotの活用などでOSSを活用する動きが顕著であり、ビッグデータやAIの領域においても、OSSをベースにしたユースケースを紹介していきたい。また、日本マイクロソフト社内には、OSSの各領域において「OSS Champ」と呼ぶスペシャリストを約50人育成しており、OSSコミュニティーに貢献できる体制を整えている。さらに、日本マイクロソフトでは、年間400回以上のイベント、セミナー、トレーニング、ハンズオンラボを開催しているが、そのうちの半分以上となる200回以上が、OSSに関するものであり、約100社のパートナーとPoC支援を行っているところだ」と述べた。

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 11月17日に、東京・六本木の東京ミッドタウンで開催されたConnect(); Japan 2017では、10個のセッションが用意されたが、そのなかでも、「Azure DB for MySQL/PostgreSQL」など、日本におけるMicrosoftのOSSへの取り組みに関して多くの時間が割かれており、参加した480人の開発者たちも、日本マイクロソフトのOSS戦略に高い関心を寄せていた。

 MicrosoftとOSSの距離感は年を追うごとに近づいているのは確かだ。

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