7月にクラウドシフトへかじを切った日本マイクロソフトに新設されたインサイドセールス事業本部が、AIをはじめとする最新技術を活用したデジタルセリングを行い、自らMicrosoft製品を駆使したデジタルトランスフォーメーション(DX)を実践している。その狙いとは。
日本マイクロソフトが、インサイドセールス事業本部を設置してから、間もなく半年がたとうとしている。インサイドセールスというと、テレセールスによる案件醸成というイメージがあるが、日本マイクロソフトのインサイドセールス事業本部の役割は大きく異なる。AIをはじめとする最新技術を活用したデジタルセリングを行う組織であるとともに、自らがデジタルトランスフォーメーション(DX)を実践する組織でもあるのだ。
もともと日本マイクロソフトでは、インサイドセールスを行っており、その導入はむしろ日本でも早い方だった。
これまでは、外部のインサイドセールス専門事業者に業務を委託し、電話やメールを通じた非対面型のセールスを展開。主に、ライセンス期間やサポート期間が終了する製品を持つユーザーに対して、製品の継続やアップグレードを提案したり、Microsoftが用意したキャンペーンを提案したりといった業務が中心だった。
振り返ってみればこの仕組みは、ライセンス販売をベースにした取り組みであった。しかし、本コラムでも紹介したように、2017年7月の組織改革で日本マイクロソフトが指向したのが、ライセンス販売モデルから、クラウドによるコンサンプション(消費型)モデルに最適化した体制への転換だ。インサイドセールス事業本部も同様の狙いから新設された。
日本マイクロソフト 執行役員常務 インサイドセールス事業本部長の高橋明宏氏は、「新設したインサイドセールス事業本部は、クラウドビジネスを拡大するための組織であり、これまでのインサイドセールスとは役割が異なる」と位置付け、「従来の『売る』ことから、『リレーション構築』を重視することにシフト。顧客とのつながりをパーソナライズ化して、長期間に渡るつながる関係を構築する。これこそがクラウド時代のデジタルセリングの姿である」とする。
ライセンスモデルでは、一度結び付いた関係はなかなか変わらないが、ベンダーロックインが前提になりにくいクラウド時代でははその結び付きは保証されない。つまり、いかに長期的に良好な関係を構築するかが鍵になる。インサイドセールス事業本部の役割はそこにあるといっていいだろう。クラウド時代の組織という意味もそこにある。
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