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» 2018年03月26日 11時00分 公開

Weekly Memo:昔ながらの巨大プロジェクトを尻目に、銀行の「勘定系クラウド」が動き出す (2/2)

[松岡功,ITmedia]
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勘定系クラウドに向けた3メガバンクの動きは……

 では、従来の都市銀行の流れをくむメガバンクの動きはどうか。メガバンクの勘定系システムを巡る動きでは先頃、世界最大級の巨大プロジェクトについての発表があった。

 その巨大プロジェクトとは、みずほフィナンシャルグループ(FG)傘下のみずほ銀行およびみずほ信託銀行が顧客へのサービス提供力の向上などを目的に、2018年6月11日より順次、次期勘定系システムへの移行を開始するというものだ。この移行は、みずほ銀行とみずほ信託銀行の既存の勘定系システムを、新たに再構築したシステムに一元化するものとしている。(図2)

Photo 図2 次期システムへの移行イメージ(出典:みずほフィナンシャルグループの発表資料)

 新システムへの移行については、安全かつ着実な移行に万全を期す観点から、9回に分けて段階的に進め、2019年上期に全ての移行作業を完了させる予定だ。

 実は、みずほFGの勘定系システム統合を巡るプロジェクトについては、これまで2度の大規模な障害を経て、4000億円超といわれる資金を投入して進められてきた。当初は2016年春に統合する予定だったが、開発が遅れた経緯もある。それだけに、今回最後にして最大の正念場を迎えており、その動向が非常に注目されている。

 とはいえ、本プロジェクトではクラウドに関する話はほぼない。みずほ銀行は2016年2月に、次期勘定系システム基盤の一部として従量課金型プライベートクラウドを採用したが、パブリッククラウドの利用については今のところ、筆者は耳にしていない。

 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の動きについては、2017年6月5日掲載のコラム「三菱UFJのAWS活用、6つのポイントとは」をご覧いただきたい。そして、三井住友銀行については、2016年5月に社内業務システム向けにMicrosoft Azureと「Office 365」を導入した経緯がある。

 このように、3メガバンクの勘定系システムについては、数年のうちにパブリッククラウドへ移行するという状況にはないようだ。先に紹介した地方銀行向けの共同プロジェクトとの決定的な違いは、メガバンクはBankVisionのようなパッケージソリューションではなく、それぞれの事業の規模や内容に合わせて独自の仕組みを使っている点にある。

 とはいえ、みずほFGの巨大プロジェクトのあとに、地方銀行向けの共同プロジェクトの発表を聞いて、巨大プロジェクトを尻目にクラウド時代が着実に前へ進んでいるように感じた。2017年にMUFGが「勘定系システムにAWSの採用も検討する」と明言したことで、雰囲気もだいぶ変わったようだ。

 筆者は、2015年6月29日掲載の本コラムで「パブリッククラウドは銀行システムにどこまで広がるか」と題して、今回のテーマを初めて取り上げた。それから3年ほどたったが、当時のコラムの最後に書いた「銀行システムが変わるインパクトは社会的にも非常に大きい。それだけにパブリッククラウドがどこまで広がるか。社会が変わる象徴として注目しておきたい」という思いは今も変わらない。

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