三菱UFJのAWS活用、6つのポイントとはWeekly Memo(1/2 ページ)

AWSが先週開催したイベントで、三菱UFJフィナンシャル・グループがAWSクラウドの活用事例を説明した。メガバンクのクラウド利用はどこまで進んでいるのか。

» 2017年06月05日 11時00分 公開
[松岡功ITmedia]

AWSクラウドをコアプラットフォームに

 米Amazon Web Services(AWS)の日本法人であるアマゾンウェブサービスジャパンが先週、東京都内のホテルで「AWS Summit Tokyo 2017」を開催した。本稿では、その基調講演で語られた三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)のAWSクラウド活用事例を取り上げたい。

 というのは、2017年1月、MUFGが社内システムの一部にAWSクラウドを採用し、勘定系システムのクラウド化も検討しているとの報道が流れ、それを機に他の企業でも基幹システムのクラウド化を進める話が持ち上がるケースが増えたとの声も聞かれるからだ。業界関係者の中には、「MUFGをめぐる報道で、基幹システムにパブリッククラウドを利用できるのではないかと見るユーザーが増えて、明らかに潮目が変わった」と見る向きもある。

Photo 三菱東京UFJ銀行専務取締役の村林聡氏

 ゲストスピーカーとして登壇したのは、三菱東京UFJ銀行専務取締役の村林聡氏。実は村林氏の現職はこの5月15日付けの異動で就任したばかりで、それまではMUFGのCIOとして長らくらつ腕を振るっていた人物である。そんな同氏がどんな話をするのか、注目した。

 まず、村林氏がMUFGのIT戦略として掲げたのは、オープンイノベーションの進展である。具体的には図1のように、API、ブロックチェーン、AI(深層学習)といった分野で、それぞれの先進企業と手を組んでいる。例えばAPIでは、MUFGグループの企業が自社機能をAPIとして外部に開放、外部企業と連携して革新的サービスの提供を目指している。

Photo 図1 MUFGによるオープンイノベーションの進展

 また、AIについては、銀行業務がどれくらいAIに取って代わられるのかを分析。「7年後、本部業務の4割はAIに置き換え可能」との結果が得られたという。AI分野ではIBMやAlpacaなどと取り組んでいく構えだ。

 その上で村林氏は、「これらのサービスをいち早く提供するためには、AWSのようなクラウドが必要だ。今後もクラウドの進化とともに、既存システムのコスト削減、開発スピードの向上、イノベーティブなサービスの継続的リリースといった観点から、われわれとしてはAWSクラウドをコアプラットフォームの1つとして育成していきたい」と語った。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ