確かに、ブロックチェーンを生み出したビットコインをはじめとする仮想通貨は、投機の対象となって乱高下を繰り返し、取引所が侵害されるなど、悪いイメージばかりが先行しているのも事実です。
しかしこれらは、いってみれば大豆やトウモロコシなどが投機の対象になっているのと同じで、大豆やトウモロコシ自体には問題も責任もありません。取引所からの通貨流出についても、銀行の支店の戸締まりがおろそかになっていて、泥棒が入ったようなものです。
仮想通貨の仕組みそのものに問題があるわけではなく、安全対策や運用が未熟だったということで、このあたりは今後、当局の規制が強化されていくでしょう(過度な規制強化には反対ですが、これだけ不祥事が続くと、ある程度はやむを得ないでしょう)。
一方で、ブロックチェーンの仕組みそのものに改善の余地があることも、確かです。ビットコインのPoW(Proof of Work)には、もともと10分程度かかるため、リアルタイムのトランザクションでは使えないことが指摘されていました。トランザクションが増えていた時期はPoWにかかる時間がどんどん長くなっているということですし、送金コストも銀行並みに上がっていた(今は下がり気味のようです)ということです。
それどころか、そもそもビットコインにおいて完全な合意形成ができているのかという疑問も露呈しています。
ただ、これらの問題点は徐々に解決されてきており、新たな技術も急ピッチで開発されています。問題が残っているところも運用などでカバーするなどして、実際の適用例も増えています。あらためて見渡してみると、ネガティブな意見も増えてはいますが、現在でもポジティブな意見の方が多いという状況に変わりはありません。
その中で、これまでブロックチェーンについて明確な態度を示してこなかったAmazonが動きました。
ブロックチェーンについては、大手のITベンダーの中で最初に食いついたのはIBMだったと思いますが、すぐにMicrosoftが追従しています。しかし、AmazonやGoogleは特に大きな発表は行っていませんでした。Amazonは2017年12月には、
といい、Appleに至っては「興味なし」とまでいっていたようです。
今回、Amazonが正式なサービスを開始したことは、ブロックチェーンへの信頼を勝ち取る上で大きな一歩のように思えます。
Googleについても動きが伝えられています。
これは、Googleの正式発表ではなく、内部リークのようですが、企業買収までしているということですので、本気度はかなり高そうです。
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