NTTデータとGoogleの協業でどんな“化学反応”が起きるか 最先端の「共創の場」が生み出す世界Weekly Memo(2/2 ページ)

» 2018年05月28日 11時00分 公開
[松岡功ITmedia]
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AQUAIRにおけるGoogleとの協業は大きな“売り”

 風間氏はAQUAIRの特長として次の3つを挙げた。

Photo 図2 AQUAIRの3つの特長

 1つ目は、最先端の技術でアイデアを試せる「Blooming Technology」。Googleの各種クラウドサービスによる最新技術を活用したプロトタイピングが可能。また、NTTデータグループなどのエンジニアが、スタジオやリモートサイトにて最新技術の導入を支援する。

 2つ目は、ユーザーの意見をすぐに把握できる「Consumer GYM」。実証実験のための仮設店舗であるConsumer GYMでは、ユーザーの反応を確認することが可能。前述したように、VRやリアル空間によるプロトタイピングと実証実験、ユーザーの行動・感覚の分析、マーケティングへの応用までを支援。空間デザインは乃村工藝社、マーケティングへの応用は博報堂が携わり、デジタルサービスの実現を支援する。

 3つ目は、グローバルの情報が活用できる「NTT DATA Design Network」。AQUAIRは、海外のNTTデータグループのデザインスタジオ(10拠点)と連携し、グローバルの事例やノウハウの共有や国を越えたプロジェクトの結成が可能だ。グローバルの先進事例を取り入れ、専門家との交流を図りながら、より広い視野によるビジネスの検討を支援する。

Photo 図3 海外のNTTデータグループの主なデザインスタジオ

 実際にスタジオ内を見ると、図1に示した活動の流れに合わせて作業やミーティングを行うスペースが機能的に設けられており、特に仮設店舗(写真2)はさまざまな実験が行えるユニークな空間となっている。風間氏によると、「デジタルビジネスのデザイン拠点は他にもあるが、実証実験やユーザー分析がきめ細かく行えるのは、当社のスタジオだけと自負している」とのことだ。

 その実証実験やマーケティングの段階もさることながら、筆者がこのAQUAIRの活動において最も注目するのは、Googleとの協業だ。NTTデータとGoogleが協業関係にあることは、筆者の知る限り、これまで聞いたことがなかったので、会見の質疑応答で確認してみると、「以前から技術協力を行っており、今回が初めてではない」(風間氏)との回答だった。

 それでも今回のAQUAIR設立は、Googleとの協業関係が強化された形で大きなポイントなのではないかと推察し、会見後、個別に風間氏に聞いてみたところ、「AQUAIRにおけるGoogleとの協業は大きな“売り”だ。Googleの技術を活用してどんなアイデアを生み出せるか、果敢にチャレンジしていきたい」とのことだった。

 AQUAIRとは「AQUA」と「AIR」を掛け合わせた名称で、この場所で水や空気のように流れるデザインプロセスによってデジタルビジネスをリードしていきたい、とのNTTデータの思いが込められている。その意味合いを考えると、Googleとの協業の重要度が推し量れそうだ。果たして、どんな“化学反応”が起きるか、注目しておきたい。

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