ワクワクしないと続かない――イノベーションを起こせるテーマの見つけ方「3か月」の使い方で人生は変わる(2/2 ページ)

» 2018年07月26日 07時00分 公開
[佐々木大輔ITmedia]
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自分で見つけた小さな気付きがワクワクの源泉

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 そこで、理解を深めるためにも、取りあえず消費者金融のカードをいっぱいつくって店舗に出向き、お金をガンガン借りてみることにしたのだ。すると、どの会社で借りてもサービス自体は大して差がないということが分かってきた。

 さらに、消費者金融が複数入るビルに行ってみて感じたのは、結局「こっちの店はなんだか汚いな」というちょっとした理由で、同じビルの別の店に入るのかもしれないということだった。

 そこで、クライアントには「お客さまの入りやすさを考えて、もっと店舗に投資しましょう」と提案することにした。ただ、クライアントの担当者や社内の先輩たちはエリート層が多く、ふだんはお金を借りる立場で店舗に出向くことがない人たちだったので、なかなか提案が響かない。

 そもそも借りる人の気持ちを分かってもらうにはどうしたらいいかと考えた結果、実際に何店舗かへみんなで行ってみることにした。そうしたら、チームは僕の言い分を理解してくれたようだった。「どうすれば店舗を改善できるか、どれだけ投資をすればどれだけのリターンがありそうか定量化してみよう」という話になったのだ。

 200店ほどある東京中の全店舗に調査員を派遣して、店舗評価をしたり、店舗やATMの写真を撮ったりしながら、どんな要因が来店者数と関係しているかを調べたりした。

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 そうやって、店舗のどこに投資すべきかをモデル化していったのだ。その結果、改善点が明らかになり、売上の向上にもつながり、クライアントにはとても喜んでもらえた。

 これは、与えられたお題から自分なりに新たな面白みを発見したことで、僕自身も楽しみながら課題を解決することができた経験の1つだ。

 まずはいろんな視点から考えてみること。その結果、それでもやっぱりワクワクしないのなら、そのテーマに取り組むのはやめておいたほうがいいかもしれない。

 でも、「実は面白いじゃん」と思ったら、それだけで大きな発見である。誰かに与えられたものではなく、自分で見つけた小さな気付きから、ワクワクは生まれるものだと僕は思っている。

●ポイント:

「面白い」は誰かが与えれくれるわけではなく、自分で発見する

著者プロフィール:佐々木大輔(ささき・だいすけ)

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freee(フリー)創業者・代表取締役CEO。1980年東京生まれ。一橋大学商学部卒。大学在学中に派遣留学生として、ストックホルム経済大学(スウェーデン)に在籍。また、インターンをしていたインターネットリサーチ会社のインタースコープ(現・マクロミル)では、データ集計システムやマーケティングリサーチ手法を開発。卒業後は、博報堂でマーケティングプランナーとしてクライアントへのマーケティング戦略の立案に従事する。その後、未公開株式投資ファーム・CLSAキャピタルパートナーズでの投資アナリストを経て、ALBERTの執行役員CFOに就任。2008年にGoogleに参画。日本におけるマーケティング戦略立案、Googleマップのパートナーシップ開発や、日本およびアジア・パシフィック地域における中小企業向けのマーケティングの統括などを担当。中小企業セグメントにおけるアジアでのGoogleのビジネスおよび組織の拡大を推進した。


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