この記事は大越章司氏のブログ「Mostly Harmless」より転載、編集しています。
MicrosoftのInternet Explorerサポートチームが2018年7月18日にブログで発表した「Internet Explorer の今後について」について、山本一郎氏がこんな記事を書いていました。
この中で、
単刀直入に言い換えれば、IEに依存した古くさいシステムを使い回してぼろい商売をやってる国内ベンダーと、そうした業者にだまされてIEに依存したシステムを導入・継続利用しているユーザーは、そろそろIEを使うの諦めてくれという話であるようです。
と書いています。これについては、経緯を知らない人は何がどう問題なのかが分かりにくいと思うので、ちょっと補足しようと思います。
問題の詳細は以下の通りです。
そこで冒頭の山本氏の記事につながるわけです。
ここで疑問なのは、「Microsoftはなぜ、IEに勝手な機能拡張を行ったのか」ということです(「勝手」というのは、必要な手順を踏まずに、という意味です)。それを知るためには、歴史を振り返らなければなりません。
20年以上前、「Windows 95」が世に出る前は、Webブラウザといえば「NetScape Navigator」でした。Microsoftは、Windows 95と同時にNetScape対抗のWebブラウザとして「Internet Explorer」をリリース。IEは後にOSにバンドルされるようになり、Windowsの爆発的な普及とともにシェアを高めていきました。この辺の経緯はWikipediaにも書かれています。
ここまでは、Microsoftがいつもの“抱き合わせ商法”で競合をつぶした、ということになりますが、その先は若干違っています。
インターネットでオンラインバンキングやEコマースなどのサービスが普及し、企業のイントラネットクライアントもWindowsとIEで構築される(Webシステム)ようになると、当時のWebブラウザの機能ではいろいろ足りない部分が出てきます。もともとWebブラウザというのは、閲覧ソフトという名の通り、ネットの向こうのコンテンツを「表示する」ためのものであり、ユーザーインタフェースを作ったり、認証などを安全に行ったりすることまでは考えられてはいません。
Webブラウザの機能を決めているのは、W3Cという標準化団体が決めているHTMLという規格です。しかし、このHTMLは、1999年にバージョン4.01を出した後、リリースが止ってしまいました。Microsoftは、新しい規格を作らない標準化団体と、機能拡張を求めるユーザーとの板挟みになってしまったのではないかと推測されます。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.