現在300人程度という開発者の数を3倍以上の1000人に増やそうとしているメルカリ。そのために同社はマイクロサービスアーキテクチャを採用し始めました。このシステムをうまく機能させるため、技術面と組織面の双方でさまざまな取り組みを行っています。
この記事は、新野淳一氏のブログ「Publickey」の記事「メルカリは開発組織を拡大するためにマイクロサービスアーキテクチャを採用した(前編)。Mercari Tech Conf 2018」を許可を得た上で転載、編集しています。
メルカリは現在、300人程度の開発者を1000人規模にまで増やす目標を掲げており、それに合わせて、パフォーマンスを発揮させるためにマイクロサービスアーキテクチャを1年前から採用し始めました。
同社がこの1年、マイクロサービスアーキテクチャにどう取り組み、実現のために何をしてきたのか。技術面と組織面の双方に関する興味深い取り組みが、2018年10月4日に都内で行われた同社主催の技術カンファレンス「Mercari Tech Conf 2018」のセッション「Microservices Platform at Mercari」で紹介されました。その内容をダイジェストで紹介します。
マイクロサービスプラットフォームチームでTech Leadを務めている中島です。この1年でメルカリに起きた大きな変化の一つは、モノリシック(一枚岩的)なアーキテクチャからマイクロサービスアーキテクチャへの移行でした。このセッションでは、メルカリのインフラや組織のデザインをどのように行っているかを紹介します。
メルカリがマイクロサービスに舵を切った大きな理由は、組織をどんどん拡大していくためです。現時点でのメルカリのエンジニアは300人程度ですが、その3倍程度の1000人規模の組織を目指しています。そして、今まで以上のスピードとパフォーマンスで開発を行い、お客さまにより良いサービスを提供することを目指しています。
これは2018年3月に発売された『Accelerate』という本です。2013年から2017年の間、スタートアップを含む2000以上の組織に対して、いかに組織のパフォーマンスを加速させるかという聞き取り調査を行い、その調査結果をまとめたものです。
その調査結果の一つにこのグラフがあります。これは組織に属するエンジニアの人数とそのパフォーマンスを、組織の違いによって示したものです。横軸がエンジニアの人数、縦軸はエンジニア1人当たりの1日のデプロイ数を指標としたパフォーマンスです。
これによると、パフォーマンスの低い組織はエンジニアが増えるとデプロイ数も減少しています。普通のパフォーマンスの組織は、エンジニアが増えてもデプロイ数に変化はありません。しかし、パフォーマンスの高い組織はエンジニアが増えるほど、指数関数的にデプロイ数が増えていきます。メルカリが目指しているのはこれです。
これは単純にアーキテクチャをモノリシックからマイクロサービスへ移行するだけでは実現できません。アーキテクチャに合わせ、最もパフォーマンスが発揮できるチーム構成や組織をデザインすることが大切です。そこで、私たちがどのようにチーム構成や組織をデザインしているかを、まずお話しします。
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