海外では120億円の追加支払いも 今知っておくべき“IT資産管理の新たな常識”とはMicrosoft Focus(2/3 ページ)

» 2018年12月15日 07時00分 公開
[大河原克行ITmedia]

ライセンス監査の免除と最適化で無駄なライセンスコストを回避

 そして、さらに注目すべきは、認定プロバイダーとの契約によって、契約期間中のライセンス監査が免除されることだ。これが、もう1つの業界初といえる取り組みだ。

 国際IT資産管理者協会の武内氏は、次のように指摘する。

 「情報システム部門では、MicrosoftとSAMの話をすると、『余計なライセンス費用を追加請求されるのではないか』あるいは『新たな商談を提案されるのではないか』という懸念がどうしても生まれる。そのため、一度導入したら、Microsoftとの接点はむしろ減らしたいと考えている。これはMicrosoftに限った話ではなく、多くのITベンダーとの間に起きている話だ。しかし、『最新のデジタルテクノロジーを活用したい』という本来の目的からすれば、MicrosoftをはじめとするITベンダーとは、緊密な関係を築いておく方がいい。今回、発表したプログラムでは、契約期間中のライセンス監査の免除によって、追加ライセンスを請求されるのではないかといった不安がなくなり、最新のテクノロジーを積極的に活用できるようになる」

 欧米では、ITベンダーによって法外な費用請求が発生している例は少なくないのだという。

 「これまでのITシステムは、社内で利用していたため、ライセンス管理も社員数を基に考えればよかった。だが昨今では、パートナーなどの間接ユーザーが社内システムにアクセスしたり、社外のエンドユーザーまでもがITシステムを利用したりするというケースが増え、利用者が10倍に膨れ上がったり、場合によっては間接ユーザー数が100倍に増えたりということも発生している。

 それによって、従来のライセンス管理の方法が通用しなくなったり、契約上はグレーゾーンともいえる部分が生まれたりすることで、ユーザー数を基にした追加ライセンス費用を請求される――といったことが起こっている。Microsoftのライセンスに関わるものではないが、海外の事例では、120億円のライセンス使用に関する追加料金を請求されたケースもある」(武内氏)

 SAMマネージドサービスプログラムの利用期間中は、ソフトウェア製品展開に関するデータをMicrosoftと定期的に共有し、IT投資の最適化を常に維持。テクノロジーロードマップを活用した積極的なIT利活用を支援する仕組みとして活用できる。

 「マイクロソフトSAMマネージドサービスプログラムでは、毎月、利用状況をモニタリングして、それに合わせたライセンスの見直しやコントロールができる。また、契約期間中のライセンス監査が免除されることで、ライセンス利用に関わるコンプライアンスリスクを認定プロバイダーに分散できるメリットが生まれる。ITシステムが複雑化する中で、ベンダーマネジメントを行える知識やノウハウを持った人材を確保することが難しいという環境でも、この仕組みを利用することで課題を解決できる」(武内氏)

 多くの企業にとって、デジタルを活用したモノづくりや営業活動、顧客とのコミュニケーションは、もはや避けては通れない。追加費用の請求といった形で不要なライセンスコストの出費が発生すれば、製品コストやサービスコストの上昇にもつながり、競争力低下の要因になり得ることも知っておく必要がある。

 マイクロソフトSAMマネージドサービスプログラムによって、設計、開発、販売といったあらゆる部門が、ソフトウェアのライセンスリスクによるコスト上昇の危険を回避できるというわけだ。

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