宇宙航空研究開発機構(JAXA)と産業技術総合研究所(産総研)は、衛星データをAIで高速解析する技術の研究開発を開始。産総研のAI処理向けクラウド型スパコン「ABCI」を用いて、JAXAの衛星データを高速かつ高精度に自動解析する技術を開発する。
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宇宙航空研究開発機構(JAXA)と産業技術総合研究所(産総研)は2018年12月25日、「衛星データのAI解析手法の研究開発に関する協定」を締結し、産総研が構築・運用する大規模AIクラウド計算システム「ABCI(AI Bridging Cloud Infrastructure)」を用いて、JAXAが保有する大量の衛星データを自動解析するAI技術の研究開発を開始すると発表した。
人工衛星による災害観測において、浸水や土砂災害などの災害発生箇所を推定するには、従来、衛星データを基に、最終的には人の手や目により必要な情報を抽出する方法がとられていた。近年は地球観測衛星の増加や高性能化により、衛星から得られるデータが爆発的に増加。その大量データから、人間の能力では容易に得られない情報を迅速に抽出するための技術が求められているという。
中でも、地表に電波を照射して、反射された電波を受信することで観測する「合成開口レーダ(SAR)」を使った観測データ(SARデータ)は、天候や昼夜を問わず観測できるメリットがある一方、扱いが難しく、限られた専門家だけが処理解析を行っているという。
なお、JAXAの陸域観測技術衛星2号「だいち2号」は、SARの一種である「Lバンド合成開口レーダ(PALSAR2)」が搭載されており、災害状況の把握、森林分布の把握や地殻変動の解析など、さまざまな目的で使われている。
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